全日本選手権のアイスダンスで優勝した村元哉中&高橋大輔のカップル
全日本選手権のアイスダンスで優勝した村元哉中&高橋大輔のカップル

「本当に結果としては初優勝、全日本優勝できて嬉しかったのですが、フリーの最後のリフトがやっぱりまだ悔やまれるなと思うので、まだまだだなと思っております」

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 世界選手権代表として出演したエキシビション「メダリスト・オン・アイス」での演技を終えてなお、高橋大輔は自らのミスを悔いていた。

 全日本選手権のリズムダンス、村元哉中&高橋は堅実な演技で首位発進している。北京五輪代表選考がかかっていた昨季の全日本では、リズムダンスでの転倒が影響して優勝を逃した。しかし昨季後半、銀メダルを獲得した四大陸選手権や世界選手権など大きな試合を経験した二人は、一年前の苦い記憶を乗り越える滑りをみせている。

「氷に乗った瞬間急にちょっと緊張感が出てきて、私もいつもよりはちょっと硬かったかな」と村元が振り返るように、速いテンポで展開していくラテンのプログラムを滑る二人は、記者席から観ても少し慎重にみえた。唯一のミスは最後の要素となるローテーショナルリフトで制限時間を超えたことだったが、大きな失敗をせずに滑り終えたことからは一年間の成長がうかがえた。

 迎えたフリー、二人が滑る『オペラ座の怪人』は、高い完成度を保ったままラストへ近づいていた。結成3シーズン目となる今季、村元と高橋はアイスダンスのカップルとして一体感が増し、二人で一つの作品を創り上げている印象がある。特にこの『オペラ座の怪人』でみせるドラマティックな雰囲気は、世界トップクラスのカップルと比較しても遜色がない。

 しかし、最後のリフトはやや危ない上がり方をしたようにみえた。必死さをにじませながら高橋が村元を降ろすものの、回転して最後のポーズに向かう途中で耐えきれず、二人とも転倒。ラストポーズを終えた高橋は、激しく悔やむ表情で頭を抱えている。

 キスアンドクライで優勝を知ってもなお、ミックスゾーンに現れた高橋はリフトの失敗で頭がいっぱいという風情だった。

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「嬉しい、けど悔しい」