全日本フィギュアスケート選手権では14位に終わった住吉りをん
全日本フィギュアスケート選手権では14位に終わった住吉りをん

 連覇を達成した坂本花織(シスメックス)が、昨年より1.01点低いだけの233.05点で圧勝し、GPファイナル優勝の三原舞依(シスメックス)が219.93点で2位と、シーズン前半戦の結果を見れば順当な1位、2位となった全日本フィギュアスケート選手権の女子シングル。

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 GPファイナルでは、国際大会では3シーズンぶりに200点を切る192.56点で5位という悔しい思いをした坂本は、「今は何かで座っている時でも、『今走れば試合で笑えるんじゃないかな』と考えるようになり、ファイナル前とはモチベーションが違っている。自ら動けるようになって、そこはうまく気持を切り替えられた」と、意識を一変させる気持の強さを見せた。また三原も、海外への長時間移動も含んだ中1週での4連戦で疲労が溜まりきっている中で、細かいところまで意識した冷静な滑りできっちり結果を出した。

 ロシア勢が不在の中、坂本は昨季の世界女王として世界をリードする力を示し、三原も体調が万全になれば世界でも表彰台争いは確実という結果を出したのは、これからの日本女子にとっても大きな収穫だった。

 だがその一方、200点台に乗せて3位から5位までに入ったのはジュニアの選手で、シニア3番手は国際大会ではジュニアカテゴリーで戦いながらも、国内ではシニアの試合に出ている17歳の吉田陽菜(木下アカデミー)が、197.21点で6位というのは厳しさも感じさせる。

 しかも今季からの年齢制限の変更(今季は15歳以上で、その後は16歳、17歳以上と変更される)もあり、今回10位以内に入ったジュニア5名のうち、5位になって来季からシニアに移行する17歳の千葉百音(東北高校)と、8位の櫛田育良(木下アカデミー・15歳)以外の3人は、4位の中井亜美(MKアカデミー)と柴山歩(木下グループ)は26年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪シーズンからで、3位の島田麻央(木下アカデミー)はその翌シーズンからしかシニアに上がれない。

 これまではジュニアの勢いがシニアを刺激してともにレベルを上げていく構図があったが、しばらくは4回転やトリプルアクセルを試合で決めている島田麻央(木下アカデミー・3位)や中井亜美(MKアカデミー・4位)が、シニア勢には直接的に刺激を与えられない状況が続くのは残念なことでもある。

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シニアで今後期待したい選手は?