巨人の原辰徳監督
巨人の原辰徳監督

 今オフのストーブリーグは、パリーグ球団の積極的な補強が目立つ。

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 ソフトバンク日本ハムから近藤健介、DeNAから嶺井博希をFAで獲得。ロッテで守護神を務めたロベルト・オスナの補強にも成功した。26年ぶりの日本一に輝いたオリックス西武の正捕手・森友哉をFAで獲得。攻守の要として期待される。

 新庄剛志監督就任1年目の今季は最下位に沈んだ日本ハムも、オリックスの伏見寅威をFAで獲得した。北海道出身の伏見は配球術に定評がある。森がオリックスに移籍したことが去就にも大きく影響しただろう。オリックスでリーグ連覇を飾った頭脳が加わることで、バッテリー強化につながる。

 近藤のFA争奪戦には楽天を除くパリーグの5球団が参戦している。一方で、セリーグの球団は静観した。特に巨人はかつてFA補強が代名詞だっただけに、意外に感じる。今季は2年連続負け越しでBクラスに沈んだ。V奪回に向け、即戦力の選手を補強できるFAになぜ参戦しなかったのか。

 巨人を取材するスポーツ紙記者は、こう分析する。

「近藤は指名打者制のあるパリーグにマッチする選手です。外野の守備位置は左翼ですが、ウォーカーがいるので補強ポイントに合致しなかった。森は早い段階でオリックスと相思相愛だった。強打の捕手として魅力的だが、巨人のチームカラーに合う選手ではない。即戦力の先発投手がFA市場にいれば獲得に乗り出す可能性はあったと思いますが…。近年はFA補強が功を奏していないので、慎重になっている部分もあると思います」

 確かにFA補強が、チームの強さに還元されるとは限らない。森福允彦、陽岱鋼、野上亮磨ら他球団から移籍してきた選手は思うような活躍ができず、炭谷銀仁朗は金銭トレードで楽天へ。2020年オフにDeNAから獲得した井納翔一は今季限りで退団した。井納と同じタイミングでDeNAから加入した梶谷隆幸も度重なる故障に苦しみ、今季は1軍出場なし。来季は育成契約で再スタートを切る。近年のFA補強で「成功」と言えるのは丸佳浩、及第点をつけられるのは今季限りで退団した山口俊ぐらいだろう。

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