女性のソロキャンパーに声をかけてくる男性は少なくない。写真はイメージ(PIXTA)
女性のソロキャンパーに声をかけてくる男性は少なくない。写真はイメージ(PIXTA)

 9月5日、静岡県伊豆市の山中でソロキャンプをしていた男性が、持ってきた飲料水がなくなって消防に助けを求めたというニュースが報じられた。これに対して、SNS上では「迷惑」「準備不足」などと厳しい批判が飛び交った。近年、人気となっているソロキャンプだが、こうした準備や知識不足によるトラブルや、キャンパーによる迷惑行為も散見される。具体的なトラブル事例と対処法を取材した。

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 関東地方のキャンプ場へソロキャンプに出かけ、大自然の魅力を心ゆくまま楽しんでいた女性Aさん。その夜、テントでくつろいでいた時に“事件”は起きた。

 テントのファスナーが突然、外から開けられたのだ。

「お姉さん、寒くないですか?大丈夫ですか?」

 中に入ってこようとしたのは中年の男性だった。

「寒くないです、大丈夫ですから」

 Aさんは恐怖心を押し殺し、男性が去るのを待ち続けた。

 日常生活で男性が女性の家に入り込もうとしたら罪に問われかねないが、ソロキャンプという“非日常”では、こうしたことが起こり得る。

 ソロキャンプの普及活動に取り組む「日本単独野営協会」の代表・小山(おやま)仁さんによると、ソロキャンプ中の女性に、男性が声をかけてくることは少なくないという。管理されているキャンプ場でも、管理人が常駐していないところもある。

「これ(Aさんのケース)はめったにないであろう極端な迷惑行為です。ただ、キャンプのやり方を教えてあげると言ったり、心配するかのように装って声をかけてくる男性がいたという話は聞きます。もちろん、同じキャンパーとして純粋に親切心で話しかけてくる人もいますが、それ以上に、女性に近づきたいという別の目的がある人が多くいて、キャンパーたちからは『教え魔』とも呼ばれています」(小山さん)

 ある女性がたき火をして浸っていたところ、年上らしき男性が「怖くない?」などとやってきて隣に居座ってしゃべり続け、あげくには自分のソロキャンプ歴自慢を始めたという事例もあったという。男性は悦に入って気持ちよかったのだろうが、「女性にとってはすべてぶち壊しで、現実社会よりひどい現実ですよね」(小山さん)

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國府田英之

國府田英之

1976年生まれ。全国紙の記者を経て2010年からフリーランスに。週刊誌記者やポータルサイトのニュースデスクなどを転々とする。家族の介護で離職し、しばらく無職で過ごしたのち20年秋からAERAdot.記者に。テーマは「社会」。どんなできごとも社会です。

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