駒澤大の田澤廉(左)と青山学院大の近藤幸太郎(右)
駒澤大の田澤廉(左)と青山学院大の近藤幸太郎(右)

 第99回箱根駅伝の号砲が近づいてきた。群雄割拠の中、今年度は駒澤大が出雲駅伝(10月10日)と全日本駅伝(11月6日)で優勝を果たし、史上5校目の学生駅伝三冠に王手をかけた状態で箱根駅伝(1月2日、3日)を迎える。その一方で、箱根連覇がかかる青山学院大も、今年度は出雲4位、全日本3位と敗れはしたが、史上最速タイムで箱根路を制した前回大会優勝メンバーが多く残り、チーム力に疑いの余地はない。果たして、どちらが上か。ともに「史上最強」と言われる両チームの戦力(12月10日に発表されたエントリー選手)を、テーマ毎に比較したい。

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 まずはレースの流れを決める大事な1区走者の「スタート力」。駒澤大は円健介(4年)、青山学院大は目片将大(4年)が有力だ。持ちタイムを比べると、10000mは目片(28分19秒53)が、円(28分29秒11)を上回るが、ハーフは円(1時間01秒51)が目片(1時間02分36秒)よりも速い。ともに箱根は未出走だが、今年の全日本ではともに1区を走り、目片が序盤から単独で飛び出す積極的な走りを見せて区間2位の27分08秒をマークすると、他の走者たちに混じって後方から追い上げた円も9秒差の27分17秒で区間4位と好走した。力の差はないが、目片が箱根ではどのようなレース運びを見せるのかに注目。ただ、駒澤大は出雲1区で区間2位、全日本8区で区間1位と今季好調を維持する花尾恭輔(3年)を最初に送り出す可能性もあり、そうなればまた様相も変わってきそうだ。

 続いて注目が集まる「エース力」。駒澤大は田澤廉(4年)、青山学院大は近藤幸太郎(4年)。前回大会に続いて“花の2区”での直接対決が確実だ。両者の10000mの持ちタイムは、田澤が日本人学生記録の27分23秒44で、近藤は28分10秒50。タイムだけでなく、知名度、実績も1年時から箱根に出走し、今年7月のオレゴン世界選手権10000mにも出場した田澤の方が上だ。事実、三大駅伝での直接対決は過去に4度(昨年度の全日本7区、箱根2区、今年度の出雲3区、全日本7区)あるが、タイム勝負では田澤がいずれも勝利した。だが、注目すべきは今年の近藤の粘りと成長度。背中を見ながらのレースも大きく離されることなく、出雲では田澤とわずか1秒差、全日本でも14秒差に食い下がった。前回の箱根2区では、田澤が1時間6分13秒、近藤が1時間7分9秒でタイム差56秒だったが、今回はどうなるか。ともに安定感は抜群。力的には田澤が上だが、近藤の“頑張り”があれば、それほど差はつかないだろう。

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「山登り力」と「新戦力」の差は?