前出のJNNの世論調査では「総理にふさわしい人」として、1位が河野太郎デジタル相(19%)、2位が石破氏(11%)、3位が菅義偉前首相(7%)、4位が岸田首相(6%)、5位が高市早苗経済安保担当相(5%)という結果になった。「石破さんの人気が復活していますね」と水を向けると、石破氏は「忘れないでいてくれる方々がそんなに(11%)いらっしゃるんですね」と笑った。時期が来れば、もう一度、総裁選に立候補する心積もりはあるのだろうか。

「それは誰が党役員として支えてくれるか、誰が閣僚として支えてくれるか、ということなんじゃないでしょうか。私も過去3回も総裁選挙に立候補しましたし、ずいぶん長く政治の世界にいます。その一方で、自分が総理としての能力、見識を持っているかということを考えた時に、まだまだ十分ではないとも感じています。外交安全保障や歴史観、財政論など、まだまだ勉強していかなければいけないと思っています」

 現在、自民党は世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との癒着が大きな問題になっている。その対応でも政権が揺れている中で、石破氏も教団との関係性が問われることになる。もし首相を目指すとなれば、より厳しい目が向けられることは間違いない。それを質問しようとしたところ、石破氏は自分から旧統一教会との過去の関わりを話し始めた。

「私は(旧統一教会と関係が深いとされる)世界日報の元社長からパーティー券を5枚購入してもらったことがあるのと、世界日報の紙面で対談したことがあります。このことは早めに調べて公表しました。一方で、私は旧統一教会の支部が鳥取県のどこにあるかも知らないし、選挙を手伝ってもらったこともない。個人的には、自民党全体が教団とベッタリだとは思っていないが、旧統一教会のバックアップがなかったら国会議員になれなかった人はいるのかもしれない。それに決着をつけるのが、次の衆参の選挙になるでしょう。最終的には有権者の審判です。自民党として旧統一教会と一切の縁を切るなら、都道府県、市町村の自民党議員もすべて関係を断たないといけないし、旧統一教会の信者は党員にもなれないことになる。その点は、まだ曖昧なところも残っていると感じています」

 はたして、「4度目の正直」で石破氏の総裁選出馬はあり得るのか。最後に、石破氏は「来年の今頃はまったく違う日本になっていると思いますよ」という言葉を残して、インタビューを切り上げた。激動の予感があるのかもしれない。(AERA dot.編集部・上田耕司)

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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