オードリーの春日俊彰(写真左)と麒麟の川島明
オードリーの春日俊彰(写真左)と麒麟の川島明

 テレビタレントの価値を計測する絶対的な指標は存在しない。にもかかわらず、この業界には歴然とした「数字」が存在する。出演した番組本数、出演CM本数、レギュラー番組本数、視聴率、ギャランティーの金額など、数字が彼らの価値を測るための参考資料として持ち出されることになる。

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 タレント本人にとって、数字は数字でしかない。でも、数字という明確な形で目に見えるものとして出てくるからこそ、多かれ少なかれそれを意識してしまうことになる。

 そんな「数字」をめぐって、2人の芸人が火花を散らしていた。麒麟の川島明とオードリーの春日俊彰である。彼らは2022年の「テレビ番組出演本数ランキング」1位の座をかけて、激しいデッドヒートを繰り広げていた。

 先に名乗りを上げたのは春日だった。春日は今年、テレビ番組内で事あるごとに「出演本数1位を獲りたい」と公言していた。このランキングは同じ番組であっても1回の出演ごとにカウントされるため、週に何度も放送される帯番組に出ているタレントが圧倒的に有利である。

 しかし、春日は帯番組に出ていなかったにもかかわらず、このランキングで毎年のように上位に食い込んでいた。さらに、今年11月には帯番組の『バゲット』(日本テレビ)にも準レギュラーとして出演するようになり、万全の体制を整えていた。

 そこに立ちはだかったのが川島である。オードリーのレギュラー番組『あちこちオードリー』(テレビ東京)にゲストとして出演した川島は、春日に対抗して、自分も今年は本気で出演本数ランキング1位を狙うと宣言した。帯番組『ラヴィット!』(TBS)を持っている川島が名乗りを上げたことで、勝負の行方は混沌としてきた。

 12月6日、そんな彼らの死闘が終わりを迎えた。川島と春日が出演する『ラヴィット!』の生本番中に結果が発表されることになったのだ。出演本数調査を担当するニホンモニター株式会社のスタッフが、特別に番組内で結果を明かす。川島と春日がスタジオの前に出てきて、発表の瞬間を待った。

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ラリー遠田

ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)。http://owa-writer.com/

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