78年11月、米下院国際関係委員会国際機構小委員会、通称「フレイザー委員会」は旧統一教会の対米工作などについて最終報告書を公表した。報告書のなかで、フレイザー委員会は文鮮明を頂点とする旧統一教会を「文鮮明機関」と規定した。

 報告書は、旧統一教会と韓国政府、韓国中央情報部(KCIA)との密接な関係のほか、教団の関連企業が韓国の軍需産業の一翼を担ってライフル銃や対空砲の部品生産を行い、第三国へ輸出する工作さえしようとした、と指摘している。

 この軍需企業が、日本へ空気銃を輸出した「統一産業」である。68年に輸入したのは「幸世物産」で、ともに名の知れた旧統一教会の関連企業である。

「空気銃」といっても、おもちゃのようなしろものではまったくない。73年4月の衆議院内閣委員会での答弁によると、「鋭和3B」空気銃は10メートル離れた厚さ2センチの板を貫通する威力がある。当時の通商産業省重工業局長は、「(鋭和3Bは)現実に輸入されましたものが1万5700丁でございます」と説明。中路雅弘衆院議員(当時)も、「非常に殺傷能力を持った銃」と語っている。

■教団を守った「政治の力」

 オウム真理教事件の直後、警察幹部は「次は統一教会を潰す」と、あれほど意気込んでいたにもかかわらず、結局、動かなかった。

 なぜか。

「いまでもよく覚えていますが、ぼくがレクチャーしてから10年後、Sさんら警視庁公安部の人たちに『いまだから言えることを教えてください』と、尋ねてみたのです。すると、驚くような事実をいくつもしゃべった。ただ、摘発できなかった理由についてはひと言だけ、『政治の力だよ』と、口にした」

 有田さんは裁判を通じて、警察がなぜ旧統一教会を反社会的団体と認識していたのか、その根拠を明らかにしていくつもりだ。裁判が長引けば長引くほど、世間の目は旧統一教会にずっと向けられる。35年もの間、旧統一教会を追ってきた有田さんが今後、教団とどのような闘いをするのか、明らかになる。

(AERA dot.編集部・米倉昭仁)