パトリック・ハーランさん
パトリック・ハーランさん

“生活保護”の状態から、奨学金や借金で進学したパトリック・ハーラン(パックン)さん。貧しかった少年時代から「節約」に努めてきました。しかし、節約には「良い節約」と「悪い節約」があると言います。いまさら聞けない「お金の基本」から手堅くお金を増やす方法までしっかりカバーして書き上げた最新刊『パックン式 お金の育て方』から、一部を抜粋・再編して大公開します。

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■「良い節約」と「悪い節約」を区別しよう!

 ここで、基本的なこととして、「良い節約」と「悪い節約」の違いを知っておいてもらいたいと思っています。

 そもそも節約の意味を辞書で調べると、「無駄を省いて切り詰めること」と書いてあります。

 ここで大事なのは、「無駄を省いて」という箇所なのですが、たまに「切り詰めること」ばかりに意識が向いている人がいます。

 良い節約というのは、無駄な支出を減らすことです。そもそも無駄なのだから、どんどんなくしたほうがいい。

 使っていないスポーツジムや英会話学校の費用とか、効果のない健康食品とか。

 そういうものがあれば、ぜひとも減らすべきです。

 でも、僕らのお金の支出には、無駄ではないものもたくさんあります。

 最低限の生活費はもちろん、教育費や医療費など、大切な支出があります。そういうものは削るべきではありません。

 たとえば、「やりたい仕事をするために大学に行かなければいけない」という人が、その学費をケチってしまうのは悪い節約です。

 実際にデータとしても、日本では高卒の男性の生涯賃金は2.59億円で、大卒・大学院卒は3.30億円というもの(「ユースフル労働統計2021」)があります。

 このデータをもとにして単純に考えれば、大学の学費を払えば7000万円ほど収入を増やせる可能性だってあるわけです。

 投資としても学費をかけるのは理にかなっています。

 しかしそもそも、学校は収入を上げるためだけに行くものではないですよね。人間関係が広がったり、新しい経験ができたり。

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良い節約と悪い節約との差ってなに?