耳が聞こえないことを告白した想が、フェンスにしがみつきながら号泣した場所。墨田区から来た高校1年生は同じポーズで号泣を「追体験」していた(画像は本人提供)
耳が聞こえないことを告白した想が、フェンスにしがみつきながら号泣した場所。墨田区から来た高校1年生は同じポーズで号泣を「追体験」していた(画像は本人提供)

 毎週木曜22時から放送中の川口春奈主演のドラマsilent』(フジテレビ系)の勢いが止まらない。

【silentの「ロケ地」をもっと見る(11枚)】

 民放公式テレビ配信サービス「TVer」では、第4話が配信後1週間で582万再生を記録。TVerで配信された全番組の最高記録を更新した。さらにツイッターでは「#silent」が国内トレンド、世界トレンドともに1位となるなど大きな反響を呼んでいる。

 それに伴い、ファンによるドラマのロケ地巡りも過熱。地方から『silent』のロケ地巡りのために東京へ旅行に来る人も多いという。

 その足跡をたどるため、筆者もドラマでたびたび登場する小田急線の世田谷代田駅に向かった。

 同駅の西口改札を出たとたん、若い女性たちがスマホで撮影する光景が目に飛び込んできた。ドラマで見た駅の茶色い壁の前で、女性たちが代わる代わる記念写真を撮っている。ここは川口春奈が演じる青羽紬(つむぎ)が、3年前に別れた元カレの佐倉想(目黒蓮)に会いたくて,あてどなく待ち続けた場所。壁の前で記念撮影をしていた18歳の女子高生はこう話す。

「今日は、ロケ地巡りのために三重県からパパと来ました。私はSnow Manが好きで、目黒蓮君のファン。ドラマを見始めたら、ハマッちゃいました」

紬が想を待っていた世田谷代田駅西口の壁の前。写真は、三重県から来ていた女子高生(撮影/上田耕司)
紬が想を待っていた世田谷代田駅西口の壁の前。写真は、三重県から来ていた女子高生(撮影/上田耕司)

 通学する高校でも、今もっとも熱い話題なのだという。

「毎週、感動して大号泣。次の日は目をパンパンに泣きはらしながら学校へ行っています。友達にも勧めまくっていて、『あのシーン良かったよね』と私の話を聞いてもらっています」

紬が落としたイヤホンを、想が拾った世田谷代田駅前のベンチ。写真は、三重県から来ていた女子高生(撮影/上田耕司)
紬が落としたイヤホンを、想が拾った世田谷代田駅前のベンチ。写真は、三重県から来ていた女子高生(撮影/上田耕司)

 駅前には、想が座ったベンチがある。ここで、想は紬の落としていったイヤホンを見つけ、拾い上げる。このベンチも観光スポットのひとつになっている。同駅の駅員はこう話す。

「『silent』の効果で、乗降客が増えました。特に若い女性の2人組が多く、明るい時間から陽が沈むまで、女性同士で写真を撮っている方が多いですね」

 駅から歩いて2~3分のところにある公園には、弧を描く円形のベンチがある。ドラマの中では、このベンチに座った、鈴鹿央士が演じる戸川湊斗が、紬にコーンポタージュを渡すシーンがある。

著者プロフィールを見る
上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

上田耕司の記事一覧はこちら
次のページ
「同じ格好をすることで追体験したい」