コスタリカ出身のロメロ・アンタルキさん(左)と金田彩夏さん夫妻。(画像は本人提供)
コスタリカ出身のロメロ・アンタルキさん(左)と金田彩夏さん夫妻。(画像は本人提供)

 27日に行われるサッカーW杯カタール大会の日本対コスタリカ戦を前に“火花”を散らす夫婦がいる。コスタリカ出身の夫は「コスタリカは気合が違う、絶対に日本に勝てる」と断言するが、日本人の妻は「いやいや、絶好調の日本が負けるはずがない」と余裕をみせる。“バトル”の行方は果たして――。

【写真】何度でも見たい! ドイツを撃破した歴史的なゴールシーン

*  *  *

 新潟市に住むコスタリカ出身のロメロ・アンタルキさん(43)と、金田彩夏さん(35)。夫妻は、コスタリカなど中米から高品質のカカオやチョコレートを輸入する会社「ロメロトレード」を経営している。

 コスタリカで育ち、2007年に文部科学省の国費留学生として、新潟大学大学院に留学してきたロメロさん。その後出会った彩夏さんと交際を始めた。大学院卒業後、しばらくは日本で仕事をしていたが、ロメロさんが母国で働くことになったため彩夏さんもコスタリカへ渡った。

 現地で挙式し、彩夏さんもインターナショナルスクールで日本語や文化を教える仕事に就いた。

 その後、また日本に戻り、今の会社を一緒に立ち上げたという。

 サッカーが大好きなロメロさんと彩夏さん。前回のロシアW杯の時はコスタリカにいたため、スポーツバーなどに連れ立って観戦したが、コスタリカのサッカー熱は日本と格が違うという。

「国中がお祭りなんです」と彩夏さん。試合の日は授業を中止して、先生と生徒で試合観戦をする学校。仕事が休みになる会社もあるそうだ。コスタリカが試合に勝つと、スポーツバーなどに詰め掛けたファンたちは、道路に出て勝手に祝勝パレードを始める。

「大会が終わっても、なかなか熱が冷めないんです」(彩夏さん)

 なかでも、ゴールキーパーのナバスは国の宝だ。日本人で例えると誰に近いかと質問してみたが、「夫婦で考えたのですが、該当する人が思いつきません。そのくらい別格なんです」(ロメロさん)という程だ。

 グループリーグでは、強豪スペインとドイツがいる「死の組」に入ってしまった日本とコスタリカ。ロメロさんと彩夏さんは当初、「お互い頑張ろうね」などとなぐさめ……、いや励まし合っていた。

著者プロフィールを見る
國府田英之

國府田英之

1976年生まれ。全国紙の記者を経て2010年からフリーランスに。週刊誌記者やポータルサイトのニュースデスクなどを転々とする。家族の介護で離職し、しばらく無職で過ごしたのち20年秋からAERAdot.記者に。テーマは「社会」。どんなできごとも社会です。

國府田英之の記事一覧はこちら
次のページ
会話がヒートアップして「けんかになりそう」