今年から始まる“現役ドラフト”の問題点は?※画像はイメージ
今年から始まる“現役ドラフト”の問題点は?※画像はイメージ

 NPBでは今年から初の試みとして「現役ドラフト(ブレークスルードラフト)」が行われる(12月9日)。そもそも現役ドラフトとは何かというと、通常のアマチュアをメイン対象としたドラフトとは違って現役のNPB選手を対象としたドラフトで、チーム事情などにより出場機会が少なくなってしまっている選手、いわゆる「飼い殺し」を防ぐために移籍を活性化させる目的で導入される制度だ。その趣旨はMLBのルール5ドラフトも変わらないが、その実態は元ネタとは大いに異なったものとなった。今回はその点を深掘りしてみようと思う。

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 その前にひとつ前程を明記しよう。ルール5ドラフトは厳密にはふたつのフェイズに分かれて実施される。メジャーリーグ・フェイズとマイナーリーグ・フェイズで、ざっくり説明すると後者は2A以下のマイナー契約選手を対象としたものなので、本稿で言うルール5ドラフトはメジャーリーグ・フェイズを指すものだと理解していただけると幸いだ。

【ドラフト対象選手】

 ルール5ドラフトで指名対象外となるのは以下の3つのいずれかに該当した選手となる。

・18歳以下で入団し、プロ在籍5シーズン未満の選手
・19歳以上で入団し、プロ在籍4シーズン未満の選手
・MLBの40人ロースター枠に登録されている選手

 これに対し、現役ドラフトの指名対象外は多くの項目が設定されている。

・外国人選手
・複数年契約中の選手
年俸5000万円以上の選手(ただし1名だけは1億円未満なら例外的に指名可)
FA資格取得選手
・過去にFA権を行使したことのある選手
・育成契約の選手
・シーズン終了後に移籍した選手
・シーズン終了後に育成契約から支配下登録に変更された選手

 各球団は契約保留選手名簿のうち、上記に該当しない選手から任意で2名以上のドラフト対象選手リストをNPBに提出する。このリストに掲載された選手が現役ドラフト対象となるため、全12球団から最低24人がドラフト候補になる。

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日本の制度には“抜け道”が多い?