オリックス・佐野皓大(写真提供・オリックス・バファローズ)
オリックス・佐野皓大(写真提供・オリックス・バファローズ)

 2022年シーズンで演じられた珍プレーや珍ハプニングなどのB級ニュースを紹介するこの企画。今回は「何でそうなるの?」と言いたくなるような珍場面3題を紹介する。

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 史上最年少の三冠王に輝いた“村神様”こと村上宗隆ヤクルト)が日本シリーズ進出を決める値千金の“珍打”を記録したのが、10月8日のCSファイナルステージ第3戦だ。

 第1戦から連勝し、日本シリーズに王手をかけたヤクルトだったが、この日は阪神のエース・青柳晃洋に6回まで3安打無失点に抑えられ、0対3と苦戦していた。

 だが、7回に青柳が突如制球を乱す。1死からサンタナに四球。2死後、青木宣親に死球、塩見泰隆にも四球を許し、満塁となった。

 そして、次打者・山崎晃太朗は一ゴロ。せっかくのチャンスも潰えたかに見えたが、ファースト・マルテがまさかの二塁悪送球。この間に2者が生還し、たちまち1点差に。

 悪い流れを断ち切りたい阪神・矢野耀大監督は、浜地真澄をリリーフに投入したが、この継投策も裏目に出る。

 宮本丈にフルカウントからファウルで粘られた浜地は根負けして四球を許し、2死満塁で一番怖い打者・村上に打順が回ってきた。一発が出れば、試合は一気にひっくり返る。

 前の打者たちが必死につないでくれた気持ちに応えるべく、村上はカウント2-2から浜地の6球目、外寄りに甘く入ってきた直球をフルスイングした。

 だが、打球はボテボテのゴロとなって一塁線を転がっていく。万事休すと思われたが、直後、信じられないようなどんでん返しが起きる。

 打球処理を焦った浜地が一塁にグラブトスすると、なんと、送球はマルテの頭上高く越えていくではないか。ボールがファウルゾーンを転々とする間に3人が還り、5対3と一気に逆転した。

 CS史に残る珍プレー“満塁の走者一掃の投前内野安打”は、エラー絡みなので、打点は1にとどまったが、執念のヘッドスライディングを見せた村上は「いいヒットではなかったけど、それも野球なので、僕の中で満足しています」と笑いが止まらなかった。

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久保田龍雄

久保田龍雄

久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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球場にまさかの“邪魔者”