しもやけが、夏になっても治らない場合は一度病院で検査してもらうことをおすすめします。膠原病(こうげんびょう)と呼ばれる免疫の病気のひとつに凍瘡状(とうそうじょう)ループスという病気があります。これは見た目はしもやけと全く同じで、血液検査などを行わないとわからない病気です。長く続くしもやけには注意してください。

3.低温熱傷(ていおんねっしょう)

 一般の人は低温やけどという言葉のほうがなじみ深いと思います。カイロや湯たんぽなど、防寒器具が長時間皮膚に熱を与えることでやけどになります。寝ている間に低温やけどを作ってしまうことが多いため、あまり熱くない温度でも注意が必要です。

 特に気をつけてもらいたいのが、糖尿病を患っている患者さんです。糖尿病の患者さんは手足の感覚が鈍っていることが多々あり、やけどやけがに気がつかず大きな傷を作ってしまいがちです。糖尿病の患者さんの傷は治りにくく、また、その部分から菌が感染すれば最悪の場合、足を切断することになります。たかが低温やけどと思われるかもしれませんが、糖尿病の人は特に気をつけてください。やけどした部分の肌が赤いだけであれば、そのまま様子をみても構いませんが、水ぶくれになっていたり、黒いかさぶたがついている場合は必ず病院へ行きましょう。特にかさぶたを伴うやけどは皮膚の奥深くまでダメージがあるかもしれません。思った以上に傷が深いのが低温やけどです。

 以上、冬に多い皮膚病三つを紹介しました。今回紹介した病気はどれも予防が可能です。病院を受診するほど悪くなる前に、しっかりと対策を立てて健康な肌で寒い冬をお過ごしください。

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大塚篤司

大塚篤司

大塚篤司(おおつか・あつし)/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員、2017年京都大学医学部特定准教授を経て2021年より近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授。皮膚科専門医。アレルギー専門医。がん治療認定医。がん・アレルギーのわかりやすい解説をモットーとし、コラムニストとして医師・患者間の橋渡し活動を行っている。Twitterは@otsukaman

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