青木真也(写真提供・ONE Championship)
青木真也(写真提供・ONE Championship)

 11月19日(土)に行われるONE Championship『ONE 163』(シンガポール・インドアスタジアム)で青木真也はダゲスタン共和国のザイード・イザガクマエフと対戦する。

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 イザガクマエフは23戦21勝(2KO・13一本勝ち)2敗の戦績を持ち、元UFCの無敗王者ハビブ・ヌルマゴメドフの練習パートナー。ONEでは2試合とも強さを見せ勝利しており、「キル・アオキ!」と息まくさまに、青木を危ぶむ声は少なくない。

 当初2試合が提示されたが、青木はより危険なこの対戦を選んだという。よくやりますね、そんな風に話を振ると「そうですね、“よくやるな”と思います」と青木は苦笑いして話を続ける。

「でもなんだろう、前には進んでいるんだけど何か自分が止まっている感覚があって。そこに対する自分の答えを出していかなきゃいけないっていう気持ちがあるんです」

 1983年5月生まれの青木はあと半年で40歳。周囲はレジェンドと呼び、1段落とした試合をこなしキャリアを送っていくこともできるだろう。だが、そういう誤魔化しは許せない性分なのか。

「いや、なんかみんなそうカッコよく言ってくれるんですけど、そんな気は全然なくて。単純にこれを好きでやってるだけなんです。別に何かを得よう、メチャクチャ稼ごうとか、有名になろう、もっと大きくして……みたいなことはあまり思っていなくて。もう自分が好きでやって、自分が作るものを応援して買ってくれる客がいるから、そこだけに対してやっていることなので」

 ブレない、自分を貫く――そういった美学を当てはめ見ようとするが、青木は次のように言う。

「その“大衆に崩れない”っていうことが別にすごいことではあまりなくて、ただの狂人ですからね(苦笑)。僕の人生において格闘技以上はないんです。そこが一番怖いですよね、これ以上がないから」

 危険と背中合わせの刺激を追って、ONEではベン・アスクレン、クリスチャン・リーといった強豪と戦い、前戦はグラップリングマッチでのちに世界王者となるケイド・ルオトロと対戦。グラップリングの“キング”ゴードン・ライアン(ADCC無差別級王者)と試合が組まれたこともあった(※後にライアンの欠場により中止に)。

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「僕は万人受けはしないですけど…」