今月17日に日本で販売が解禁されたフランスの新酒、ボージョレ・ヌーボー。安価で飲めることでも人気のワインだが、今年は円安などで価格が高騰。市場に出回る量も減っている。こうしたなか、いま注目されるのが「日本ワイン」だ。国内のワイナリーのなかには、例年以上に売り上げを伸ばしているところもあるという。WEBメディア「日本ワイン.jp」の編集長NORIZOさんに、日本ワインの「今」を聞いた。

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 毎年ワイン好きが楽しみにしているボージョレ・ヌーボー解禁日。今年は、例年に比べて静かな幕開けだった。たとえばサントリーが扱うボージョレの代表的な銘柄「ジョルジュ デュブッフ ボジョレー ヌーヴォー 2022 セレクション ド デュブッフ」(750ミリリットル)の、今年の税込み参考価格は3850円。昨年に比べると、ボージョレ・ヌーボーの市場価格は高いもので約4割ほど値上がりしており、輸入量も減っている。おもな理由は、ウクライナ情勢の影響でロシア上空を飛べずに輸送距離がのびたことや、円安の影響で航空輸送費が上昇したためだ。

 ボージョレに限らず、酒類、なかでも輸入ワインの値段は軒並み上がっている。サッポロビールは今年7月、焼酎7品と輸入ワイン105品を値上げし、ワインでは参考小売価格で1.6~49.8%の値上げとなった。メルシャン、アサヒビールなども続々と値上げを発表している。

 そこで注目されるのが日本ワインだ。日本ワインとは、国産のブドウのみを原料として、国内で製造されたもの。NORIZOさんはこう話す。

「昨今の円安と運賃の高騰で、フランスから飛行機で運んでくるボージョレ・ヌーボーはどうしても割高感が出てくることはわかっていました。小売店各社は、それを踏まえて日本国内の『ヌーボー』、いわゆる『新酒』を早くから導入することを決めていました。その日本の新酒の中でも、各種小売店から特にオーダーが殺到したのが『山梨ヌーボー』です。2008年から毎年11月3日を解禁日と設定。今では山梨ワインの風物詩としてすっかり定着しています」

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山本真由
山本真由

NEXT日本ワインの市場は年々拡大
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