パトリック・ハーランさん
パトリック・ハーランさん

 「生活保護」の状態から、奨学金や借金でハーバード大学に進学したパトリック・ハーラン(パックン)。現在では東京都心に邸宅を構え、お金に悩まされずに、家族と楽しく過ごしています。この大逆転の理由を、パックンは「お金を育てる方法」を知っていたから、と語ります。最新刊『パックン式 お金の育て方』では、誰にでもマネできるお金との付き合い方を紹介しています。貧乏生活を知るパックンだからこそ伝えたい「今、お金を使うことのリスク」とは? 今あるお金を確実に守り抜くパックン式のメソッドを本書から一部を抜粋・再編して大公開します。

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■お金は、本当に「今」使うべきなの?

 ときどき、「いつ死ぬかわからないんだから、お金は使ったほうがいい」という考え方を耳にしますが、すごく不思議に感じます。

 僕からすると、それは無駄遣いの言い訳にすぎず、単にお金のことを考えるのが面倒くさいだけではないかな、と。

 だって、冷静に考えてみてください。

 ずっと「老後のために」といってコツコツとお金を節約した人が、老後を迎える前に亡くなったとしましょう。そのことを想像すると、「かわいそうだな」「もっとお金を使ったら良かったのに」と思うかもしれません。

 でも、本人はもう亡くなっているから、損をしたことにも気づかない。

 遺された周りの人たちが、勝手にその人の気持ちを想像しているだけですよね。

 それでは逆のケースを考えてみましょう。

「いつ死ぬかわからないから」といってお金を好き放題使った人が、意外と長生きした場合です。

 その人は老後になって確実に後悔しますよね。仮に老後が30年あるとしたら、その人は30年間ずっと、お金の不安を抱えながら生き続けなくちゃいけない。

「若い頃のお金を取っておけば良かったなあ」と思うことでしょう。

 周りから見ても、お金を遺して早く亡くなった人よりも「かわいそうに……」と思われるでしょう。さらにもしかしたら、お金のことで周りに迷惑をかけてしまうかもしれません。

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お金を遺しておく、幸せだってある