高濱 今はエリーさんみたいな魅力的な大人が子どもの前にどんどん立って、子どもの心を揺さぶることが必要なんだと思う。

大宮 私はいじめられっ子だったせいか、自己肯定感の低い人間なんで、常にそこと戦ってきました。

高濱 えー信じられない。

大宮 だからこそ子どもたちには自分を信じる力を身につけてもらいたいなと。学校教育は答えが一つです。でもアートやクリエーティブって答えは一つじゃない。人生もね。可能性は無限大。そんなことを授業で伝えまくって、それぞれの可能性と個性を見つけ褒めまくると、すんごく伸びてくる。

高濱 それ、すごく大切です。「こうしなさい」なんて言われなくてすむ、ただいるだけで楽しくてうれしい場所。

大宮 そう、エリー学園では相手の個性を大切にする授業をしています。英語が話せたって、相手の意見を聞く力が必要。そして、感じたことを言葉にする力がないと会話にならない。いくらお勉強ができても通用しない。「インタビュアーになろう」を“ことば”の授業でやりました。そうするとね、相手を思いやれてしかも、自分のことも大切にできる子になるんです。

高濱 自分のことも、っていいですね。それはやっぱりいじめられ体験からきているのかな。いつごろのことですか?

大宮 小3から小4です。

高濱 きっかけはあったんですか。

大宮 私の関西弁ですね。

高濱 あるあるだな。子どもは異質なものに鋭く反応するから。

大宮 今でも校庭のマンホールを覚えてますよ。一人、それを眺めながらどうして私だけいじめられるんだろうと悩みました。でも大人の世界にもいじめはあって、今から鍛えておきなさいということかなと考えました。それか、もしかしたら神様が人の痛みというものを学びなさいと言っているのかなとか。

高濱 そんなふうに考えられるなんて、すでにクリエーティブの片鱗が見える。いじめはずっと続いたの?

大宮 克服しました。きっかけは、塾に行ったこと。まったくいじめられなかった。あれ、先の見えないブラックホールに投げ出されたと思っていたらこれはトンネルだったんだ! ならば出口があるじゃないと。自分の通ってた学校だけが社会じゃないんだなと視野が広がった。

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