写真提供=スターダストプロモーション
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 タレントとして活躍する一方、アーティストに提供した楽曲も数知れず。そんなヒャダインさんだが、京都大学3年の秋まで「音楽の道に進もう」とは夢にも思わなかったという。発売中の『国公立大学 by AERA2023』では、子どもと大人のグラデーションの中で揺れ続けた、大学生活について語ってもらった。

【写真】高校時代のヒャダインさん

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 京都大学を目指した理由を聞くと「自宅から通える、一番難しい大学だったから」と笑うヒャダインさん。学びたいものはとくにない、自分の将来像も描けていない、そんな高校生だった。総合人間学部を選んだのも、「何でも学べそうだった」から。それでも後期試験で合格を勝ち取った。

 「倍率は20倍を超えていたんじゃないかな? 受かるはずがない(笑)。でも前期で落ちて肩の力が抜けたんでしょうね。たまたま後期試験の英語で、当時は珍しいリスニング問題が出題されたのも、英会話を習っていたぼくにはラッキーでした」

 高校時代、ヒャダインさんは合格というゴールだけを目指して必死に勉強した。その後のことを考えていなかったことに、入学してから気づいたそうだ。

 「カリキュラムを自分で決めることさえ知らなかった。でも授業内容を調べると、心理学とか語学とか選択肢がたくさんあって『知の宝石箱だ!』と感激しました。このジュエルを手にする権利を得たんだと気づいて、本当にワクワクしました」

 しかし、宝を手にする難しさにもすぐに気づくことになる。

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ここはあの京都大学。自分とはレベルが違う