シーズン途中にロッテに加入し、素晴らしい成績を残したオスナ(写真提供・千葉ロッテマリーンズ)
シーズン途中にロッテに加入し、素晴らしい成績を残したオスナ(写真提供・千葉ロッテマリーンズ)

 日本シリーズも終わり、来季に向けての補強が気になるシーズンになってきた。しかし岩崎優(阪神)、西川龍馬(広島)、浅村栄斗(楽天)、中村奨吾(ロッテ)などFA権を行使すれば争奪戦になると見られていた選手が相次いで残留を表明。昨年もFAで移籍したのは又吉克樹(中日ソフトバンク)だけだったのに続き、今年も静かな移籍市場となっている。

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 そこでやはり気になるのが2年連続で優勝を逃し、Bクラスに沈んだ巨人の動向だ。人的補償の対象から外すために多くの選手を育成契約に切り替え、森友哉(西武)の獲得調査には動いていると見られるものの、今のところ有利と見られる情報は伝えられていない。

 先日、2018年オフに丸佳浩の人的補償で広島に移籍した長野久義が無償トレードで5年ぶりに復帰することが発表されたが、来年で39歳という年齢とここ数年の成績を見ても大きな戦力アップとは考えづらいだろう。仮に森を獲得できたとしても指名打者のないセ・リーグでは他の捕手との併用になる可能性が高く、また人的補償による戦力流出も懸念となる。そのような事情も巨人の大型補強がいまひとつ盛り上がってこない理由の一つと言えそうだ。

 ただ、2年連続で優勝を逃したとなれば、補強に動かないとは考えづらい。そこで、金銭以外に大きなマイナスはなく、リスクの少ない補強となると、他球団で実績を残した外国人選手になるのではないだろうか。中でも最優先で狙うべき選手として挙げたいのがオスナ(ロッテ)だ。メジャーでは6年間で通算155セーブをマークし、2019年にはアメリカン・リーグの最多セーブのタイトルも獲得。その後は故障で低迷していたが、昨年の6月に来日してロッテに入団すると、29試合に登板して4勝、10セーブ9ホールド、防御率0.91と見事な成績を残して見せたのだ。

 ロッテとの契約は今シーズン限りであり、残留に向けて交渉を続けていると見られるが、メジャーでの実績は抜群で、さらに現在27歳という若さを考えても、相当な大型契約が必要になってくることが考えられる。巨人は今年ルーキーの大勢が抑えとしてフル回転したものの、ビエイラ、デラロサの両外国人が大きく成績を落としており、リリーフ陣の補強は必要不可欠な状況だけに、ロッテとの交渉がまとまらなければ、真っ先に獲得に動くことも考えられるだろう。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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