15年ぶりに阪神の指揮官に就任した岡田彰布新監督
15年ぶりに阪神の指揮官に就任した岡田彰布新監督

 阪神は新たな指揮官を迎え、来季へ向けた優勝の機運が高まっている。

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 岡田彰布新監督の「アレを狙う」発言以降、現場からは威勢の良い声が聞こえる。しかし今の状況を複雑な心境で見つめる人たちもいるという。

 阪神はクライマックスシリーズ(CS)のファイナルでヤクルトに敗退。10月15日には新監督として岡田氏の就任が正式発表され、翌16日の就任会見では独特の言い回しで優勝を公言した。

「『優勝します』とは僕はよう言わないですけど、ずっと優勝は『アレ』としか僕は言ってなかったんで。はっきり『優勝します』とかよう言わないですけど、まあね、シーズン終わる頃には楽しみにしてもらったら、良いと思います」

 2010年のオリックス監督時代にも交流戦優勝を目前に「優勝」を「アレ」と表現したが、今回はリーグ制覇のことを指しているのは明白だ。

「シーズン開幕直後から『(阪神は)優勝できるメンツなのに……』と悔しさを滲ませる場面が見られた。CSでの解説では具体的な選手起用方法まで示唆していた。早い段階から監督に就任し、来季の優勝を念頭に準備をしていたのでしょう」(在京テレビキー局スポーツ担当者)

 岡田監督は就任直後から「アレ」へ向けて早くも動いた。10月18日には江越大賀、斎藤友貴哉との交換で日本ハムから渡辺諒、高浜祐仁を獲得。弱点と指摘されている二遊間強化の一環だ。

「言動でチームを前向きにしてくれる。『アレ』発言をした直後の選手補強には本気度を感じた。秋季練習では連日、選手や裏方さんの気持ちを昂らせるような金言を話してくれる。岡田監督自身が勝ちたいというのが伝わってくる」(阪神関係者)

 10月24日の秋季練習初日には「優勝ではなくアレと言うように」という訓示もあった。主砲・佐藤輝明をはじめ、多くの選手が「アレを目指したい」と口にするなど鼻息は荒い。岡田監督がチームを指揮して優勝した2005年以来の悲願達成に向け、監督や選手たちはやる気満々のようだ。

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