来季の飛躍が期待される巨人・井上温大(左)と中日・鵜飼航丞(右)
来季の飛躍が期待される巨人・井上温大(左)と中日・鵜飼航丞(右)

 10月10日から31日まで行われた第19回みやざきフェニックスリーグ。若手の登竜門としておなじみの試合だが、その中から来季に向けてブレイクの兆しを見せた選手をピックアップして紹介したいと思う。

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 投手でまず大きなアピールに成功したのが阪神ドラフト3位ルーキー、桐敷拓馬だ。レギュラーシーズンでは二軍のローテーションの中心として6勝1敗、防御率0.72と見事な成績をマーク。一軍では7試合(うち3試合は先発)の登板で0勝3敗という結果に終わっているが、それでもイニング数を上回る奪三振を記録している。

 フェニックスリーグでは10月21日の楽天戦、10月29日の巨人戦に先発し、いずれも7回を無失点と見事なピッチングを見せた。ストレートは驚くような速さはないものの、サウスポーらしい角度があり、両サイドに投げ分けるコントロールも備えている。ストレートと同じ軌道から鋭く変化するスライダーも一級品だ。スライダーと対になる変化のツーシーム、チェンジアップの質が上がってくれば、一軍でも通用する可能性は高い。現在一軍のローテーションに定着している左投手は伊藤将司しかいないだけに、首脳陣からの期待も大きいはずだ。

 同じセ・リーグの左投手で楽しみなのが井上温大(巨人)だ。2019年のドラフト4位で巨人に入団。昨年は肘の手術を受けて一度育成契約となったものの、今年支配下に復帰し、9月23日の中日戦では先発で6回を投げて3失点、6奪三振の好投でプロ初勝利もマークした。このフェニックスリーグでも4試合に先発したが、特に圧巻だったのが10月25日の広島戦だ。矢野雅哉、宇草孔基、末包昇大など一軍でも多く出場していた選手を並べた打線を相手に6回を被安打4、四死球0、1失点にまとめ、11個の三振を奪って見せたのだ。

 プロ入り当時は140キロ程度だったストレートはコンスタントに145キロを超えるようになり、球持ちも長いため打者は差し込まれることが多い。順調にいけば現在チームの三軍投手チーフコーチを務めている杉内俊哉(元巨人)のような先発左腕になる可能性も十分にあるだろう。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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