写真はイメージ (c)GettyImages
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 コロナ禍で最も打撃を受けた業種のひとつが航空業界だ。コロナ前、大手航空会社は毎年数百人規模でキャビンアテンダント(CA)を採用していたが、一昨年、昨年と、ほとんどの会社が採用を中止し、志願者たちは難しい選択を迫られた。厳しい現実を前に、学生たちはどのような進路を選んだのか。そして今後、CA採用はどうなるのか。

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■他職種に就職 でもCAになりたい

 2020年、新型コロナウイルスの感染拡大以降、人びとの移動が制限されたこと、とくに海外との行き来が少なくなったことによって、航空会社の多くはCAの募集を停止した。JAL(日本航空)、ANA(全日本空輸)では、21年、22年入社予定のCAを募集しなかった。

 これは、幼少のころからCAにあこがれていた人たちには大きな衝撃だった。CAになる夢がかなえられなかった学生は、いまどうしているのか。

 21年に関西の大学を卒業したAさんは、CAの夢を抱きながら、接客の仕事ができる百貨店へと就職した。

「入社当初はモチベーションが保てませんでした。いまの会社で働いても、CAにつながるスキルを身につけられるわけではない。夢も諦めかけました。でも、最近は外国人のお客さまが増えて、コミュニケーションをとる面白さを知ったので、改めて、異文化と触れあうことが多い国際線で、CAとして仕事をしてみたいと思っています」

 Aさんは今夏、コロナ禍以降、初めて海外旅行をした。機上でテキパキと仕事をするCAの姿を、食い入るように観察した。気分はCAだった。笑いながらこう話す。

「飛行機から降りた後、表情、言葉遣い、しぐさの一つひとつを真似していました。機内アナウンスをぶつぶつ繰り返したりもしました。久しぶりに、自分の将来と重ね合わせました。これからは国内旅行もできるだけ飛行機を使って『CAになった気分』を味わい、モチベーションを高めようかと思っています」

 Aさんはいま、各国の航空会社のウェブサイトをつぶさに閲覧して、CAの募集情報をチェックしている。来年、チャレンジするつもりだという。

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「就職浪人」したCA志望学生はいま…