巨人の原辰徳監督
巨人の原辰徳監督

 今季5年ぶりのBクラスに低迷した巨人がチーム改革に乗り出している。

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 FAで獲得した山口俊、井納翔一ら10選手が来季の戦力構想から外れて退団。井納は在籍2年間のみでチームを去ることになった。さらに故障でリハビリ中の梶谷隆幸、中川皓太、高橋優貴、平内龍太ら11選手に自由契約とすることを通達。全選手に育成選手として再契約を打診するとみられる。

 首脳陣も刷新した。大久保博元1軍打撃チーフコーチ、阿波野秀幸1軍投手チーフコーチ、鈴木尚広1軍外野守備走塁コーチが新たに就任。また、川相昌弘ファーム総監督が1軍総合コーチ、桑田真澄投手チーフコーチがファーム総監督に。阿部慎之助ヘッド兼バッテリーコーチ、元木大介作戦兼内野守備コーチは配置転換される形となった。

 今後はFA市場で西武・森友哉、阪神・西勇輝が権利を行使した場合、獲得に動くか注目される。外部からの大型補強は巨人の「お家芸」と言えるが、スポーツ紙デスクは「王座奪回はいばらの道です」と厳しい見通しを口にする。

「森は西武残留かオリックス移籍、西も阪神残留の線が濃いとささやかれています。仮に2人の選手を獲得できたとしても、チームが劇的に強くなるわけではない。一昔前と違い、今の野球は救援陣の安定感が優勝争いの指標となっている。ヤクルトがリーグ連覇を達成できたのも、強力打線に加えて高津臣吾監督が救援陣をきっちり整備したから。また、投手陣の安定感で言えば、阪神がずばぬけている。優勝は逃しましたが借金16から前半戦で完済したのは地力がある証です。来季から岡田彰布監督が就任し、守備強化の方針を打ち出したことでスキのないチームになるでしょう。ヤクルトと阪神の優勝争いが予想されます」

 今季の救援陣の防御率を見ると、阪神が2.39と断トツの安定感を誇る。湯浅京己、浜地真澄が50試合以上登板で防御率1点台前半とセットアッパーとして一本立ちしたのが大きい。1年を通じて守護神を固定できなかったのが課題だったが、この懸案事項を解消できれば白星をさらに積み重ねられるだろう。ヤクルトも大卒2年目の木澤尚文が台頭し、55試合登板でチーム最多タイの9勝、17ホールドポイトをマーク。清水昇、田口麗斗、今野龍太、石山泰稚ら多士済済のリリーバーたちから守護神・マクガフにつなぐ勝利の方程式が確立されている。

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