現役最終年は西武でプレーした清水隆行(OP写真通信社)
現役最終年は西武でプレーした清水隆行(OP写真通信社)

 FAやトレードの話題で賑わうシーズンオフ。働き盛りの選手が新天地でさらなる活躍を目指す一方で、チーム構想から外れたベテランがもうひと花咲かせようと、“最後の働き場所”を求めるケースも多い。

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 だが、主力として長く在籍していたチームのイメージが強いあまり、中には現役最終年にどのチームでプレーしていたか、印象が薄い選手も存在する。

 今オフ、ロッテの新監督に就任した吉井理人もその一人だ。

 ドラフト2位で入団した近鉄を振り出しに、ヤクルト、メッツ、ロッキーズ、エクスポズ、オリックス、ロッテと日米7球団に在籍した“球界渡り鳥”も、最後のロッテ時代を覚えているファンは、そう多くないはずだ。

 それもそのはず。吉井は現役最終年の2007年はオリックスで開幕を迎え、4月25日の楽天戦では、24歳年下の高卒ルーキー・田中将大に投げ勝っているので、「吉井の最後の所属球団はオリックス」と錯覚しやすい。

 実は、この楽天戦が、同年の吉井の唯一の白星だった。10試合で1勝6敗、防御率5.75と結果を出せず、コリンズ監督から中継ぎ降格を命じられた吉井は、あくまで先発にこだわり、移籍を希望して2軍で調整を続けていた。

 そんな矢先、メッツ時代の指揮官でもあるロッテ・バレンタイン監督が「さまざまな局面をくぐり抜けてきた投手」と評価して獲得に動く。

 6月25日の横浜戦で、久保康友が左手甲に打球を受けて骨折し、代役の先発候補を緊急補強しなければならないチーム事情もあり、同28日に平下晃司との交換トレードで、ロッテ・吉井が誕生した。

 だが、7月5日の古巣・オリックス戦で移籍後初先発した吉井は、2点リードの2回に連打で5点を失い、5回途中で降板。同12日の西武戦も初回にKOされるなど、4試合で0勝3敗、防御率13.14と期待に応えることができなかった。シーズン後の10月27日に戦力外通告を受け、ロッテ在籍はわずか4カ月で終わりを告げた。

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久保田龍雄

久保田龍雄

久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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