一方、アクティブファンドはパッシブファンド以上の運用利回りを積極的に目指した商品といえる。

投資信託会社のファンドマネジャーと呼ばれる人がさまざまな会社の将来性を調査し、その株などを組み合わせて設計した商品です。調査費や人件費がかかるので、一般的にはそのぶん信託報酬は高くなります」

 さらに、そのどちらでもない「バランスファンド」もある。

「簡単に言うと、株だけでなく債券など値動きの違う資産を複数組み合わせた商品です」

 では、どのタイプの投資信託がお勧めなのか?

「初めての資産運用であれば、インデックスファンド、もしくはバランスファンドをお勧めします。アクティブファンドは誰にでも勧められる商品ではありません。インデックスファンドと比べると信託報酬が高いファンドが多いので、それ以上に運用益が出ている商品を探さなければなりません。もちろん、探せばインデックスファンドを上回る運用実績のよいアクティブファンドはありますので、その労力をいとわずに、積極的に資産を増やしたいという方にはアクティブファンドをお勧めします。ご自身で運用実績が良好なアクティブファンドを調べるのが難しければ、IFA(Independent Financial Advisor=独立系ファイナンシャルアドバイザー)などのプロに相談するのも手です。特に若い人は多少価格の振れ幅が大きくてもリスクを取ったほうがいいと思います。長く運用できるので、それがプラスに働き、運用益が大きくなりやすいですから」

 その際、信託報酬が不当に高い「質の悪い商品」を買ってしまう恐れはないのか?

「例えば、つみたてNISAで買える商品は、長期投資に適したものになるように金融庁が定めた基準をクリアしています。投資信託は信託報酬が1.5%以下(税抜き)、販売手数料も0円(ノーロード)の低コスト商品に限定されています」

若い人ほど有利

 投資信託の購入は、結局のところ、価格変動の小さな商品でほどほどの収益を目指すのか、それとも価格の振れ幅の大きな商品を選んでリターンを大きく取るのか、という話に集約される。

「そこで一番大事なのが『リスク許容度』です。仮に100万円投資して、いくらまで一時的に下がっても心理的に大丈夫ですか、と聞いたりします。これは本当に個人差があります。ただ、積み立てで買っていくと、価格が下がったときにはたくさん買えるので、長期で保有していれば損をしづらいんですよ」

 NISAで資産運用を始める理由の多くは老後の資金づくりという。政府も年金財源に限りがあることから個人の自助努力を後押ししている。

「NISAの口座数が特に多いのは30代と40代です。20代の口座開設も増えています。長期で積立投資ができる若い人ほど運用がプラスになりやすいので、どんどんこの制度を使ったほうがいいでしょう。新しいNISAでもおそらく積み立てで投資信託を運用するのがスタンダードになると思います」

(AERA dot.編集部・米倉昭仁)