泉房穂・明石市長
泉房穂・明石市長

「暴言の責任を取る」として、来年4月の任期満了で市長退任、政界引退の意向を表明した兵庫県明石市の泉房穂市長(59)。過去にも暴言が原因で市長職を退いており、同じ過ちを繰り返したことになる。さすがにこれでさっぱり引退なのか?と思いきや、そう簡単には引き下がらないようだ。

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 泉市長は8日、市内の小学校の式典で、自民系と公明党の計2人の市議に「問責なんて出しやがって。選挙で落としてやる」「問責決議案に賛成したら許さない」などと発言したという。

 問責決議案は、今年2月に泉市長が企業名を挙げて、法人市民税額をツイッターで公開したことなどについて、「再三の不適切な言動を指摘したが、変わらない」などとして、6日に提案されていた。

 問責決議に法的拘束力はないが、泉市長は12日の市議会で可決されるのを見越して、辞任と政界引退まで決断したという。

 泉市長をめぐっては、2019年1月に、土地の買収を巡り、

「アホちゃうか。火を付けて捕まってこい。燃やしてしまえ」

 などと市職員を恫喝(どうかつ)したことが発覚し、2月に市長を辞職。翌月の出直し選挙で復活していた。

 当時、泉市長は市民集会で、

「ささいなことで怒ることを自分でコントロールできないことがわかった」

 と涙を浮かべて頭を下げた。なぜ怒り、暴言を吐くのか、どう対応すればいいのかを知るために、「日本アンガーマネジメント協会」の講座を受けているとも説明していた。当時、

AERAdotの取材にも、

「怒りがこみ上げるとトイレに行き、一息入れるなど実践している。効果がありますよ」

 などと話していた。

 だが今回は怒りを抑えきれず、再度の暴言につながったようだ。

 問責決議案が可決された12日の市議会後の記者会見で泉市長は、暴言を吐いた理由について、

「糸が切れた。当日のやりとりでスイッチが入ってしまった。表でニコニコ、裏で足を引っ張るようなことがなされ、積もり積もった怒りが爆発して『ええ加減にせえ』と切れてしまった」

 と説明し、反省と謝罪の弁を述べた。

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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