西武の森友哉(球団提供)
西武の森友哉(球団提供)

 今オフの「FA市場の目玉」として、去就が注目されるのが西武・森友哉だ。今年8月20日に国内FA権を取得。2019年に打率.329、23本塁打、105打点でMVPと首位打者を獲得するなど強打の捕手として知られるが、森の魅力はそれだけではない。

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 セリーグ球団の編成部担当は、こう語る。

「リード面で格段に進歩しましたね。投手の良さを引き出すだけでなく、相手打者の裏をかく配球が見られるようになった。捕手としての楽しさを感じている時期だと思います。今年は打撃でなかなか調子が上がらなかったが、西武のチーム防御率はリーグトップの2.75。投手王国を構築できたのは森の守備面での貢献度が大きい。まだ27歳と若いですし、5年以上はレギュラーとして計算できる。FA権を行使すれば、欲しくない球団はないでしょう」

 確かに、全ての球団が獲得に名乗りを挙げても不思議ではない。それほどの魅力を兼ね備えた選手だが、チーム方針や新監督が就任した球団も補強に大きな影響を及ぼす。

 スポーツ紙の遊軍記者は「森は大阪出身で阪神は地元球団だが、獲得に乗り出さないのでは。岡田彰布新監督は梅野隆太郎を正捕手にチーム作りを進めると思います。楽天もFA補強に積極的な球団ですが、今季は春先の首位快走から大失速で4位に終わるなど結果が出ていない。生え抜きの選手たちの育成に重点を置いているので、森の獲得は見送るのでは。今オフにFA権を取得した浅村栄斗、田中将大の慰留に全力を注ぐと思います」と分析する。

 他球団はどうだろうか。争奪戦に参戦する可能性が高いのがオリックスだ。リーグ連覇を飾った今季は脂がのり切った選手が多い一方で、捕手陣は伏見寅威が今季FA権を取得。若月健矢も来年中にFA権を取得する。伏見、若月の貢献度は非常に高いが、他球団への流出も想定しなければいけない。そこで、森を獲得すれば大きな補強になる。同一リーグのライバル球団として立ちはだかり、攻守での働きぶりは熟知している。捕手だけでなく、強打を生かして指名打者でも出場できるなど起用法の幅が広いこともメリットだ。少年時代はオリックスジュニアに所属していた縁もある。

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