ソフトバンク・武田翔太
ソフトバンク・武田翔太

 マジックが点灯しながらも、最終戦に敗れてまさかの2位となったソフトバンク。2017年からは日本シリーズ4連覇を達成しているが、レギュラーシーズンの成績だけを見ると過去5年間でリーグ1位となったのは1回だけであり、常勝軍団、巨大戦力という印象は徐々に薄れている。またシーズン終了を待たずに長年チームを牽引してきた松田宣浩の退団が発表され、エースの千賀滉大も海外FA権を行使してのメジャー移籍が噂されるなど、2010年代に栄華を誇ったチームも過渡期を迎えていることは間違いないだろう。

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 ここから再びパ・リーグ、球界の盟主へと返り咲くためには様々な課題があるが、一つ気になるのが選手の年俸におけるコストパフォーマンスの悪さだ。5月にプロ野球選手会が発表した年俸調査ではソフトバンクの平均年俸は7002万円で3年連続トップとなっており、最下位である日本ハムの2817万円と比べると実に倍以上の開きとなっている。また、これはあくまでも選手会に加入している日本人選手だけの金額であり、外国人選手まで含めるとこの差はさらに大きくなるだろう。

 そして大きな疑問となっているのがその査定の甘さだ。昨年オフに行われた契約更改において、1億円以上の年俸となった選手と昨シーズンの成績を並べてみると、以下のようになっている(金額は推定。年俸が変動しない複数年契約や減俸のない複数年契約の選手は除く)。

千賀滉大:6億円(前年比+2億円)
13試合 10勝3敗0セーブ0ホールド 防御率2.66

嘉弥真新也:1億6000万円(前年比+2000万円)
58試合 1勝0敗0セーブ19ホールド 防御率4.71

和田毅:1億5000万円(前年比±0円)
18試合 5勝6敗0セーブ0ホールド 防御率4.48

武田翔太:1億5000万円(前年比+9000万円)
12試合 4勝5敗0セーブ0ホールド 防御率2.68

石川柊太:1億2000万円(前年比+4000万円)
28試合 6勝9敗0セーブ0ホールド 防御率3.40

柳田悠岐:6億2000万円(前年比+1000万円)
141試合 155安打28本塁打80打点6盗塁 打率.300

中村晃:2億4000万円(前年比±0円)
139試合 113安打8本塁打56打点1盗塁 打率.245

甲斐拓也:2億1000万円(前年比+4500万円)
143試合 92安打12本塁打44打点6盗塁 打率.227

松田宣浩:1億5000万円(前年比-3億円)
115試合 83安打14本塁打47打点5盗塁 打率.234

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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