楽天の石井一久GM兼監督
楽天の石井一久GM兼監督

 楽天のCS進出の可能性が完全に消滅した。9月28日の西武戦で先発の岸孝之が8回1失点の好投も打線が沈黙し、今季16目の零封負け。翌29日のソフトバンク戦も初回に4点を先制される苦しい展開で3回に追いついたが、5回に再び勝ち越されると相手の継投策を攻略できずに2連敗で、4位以下が確定した。

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 ここまで大失速するケースは珍しい。石井一久GM兼監督が就任2年目の今季は開幕ダッシュに成功し、5月10日時点で24勝6敗1分と首位を独走。貯金18まで伸ばしたが、その後の20試合で6勝14敗と下降線に入ると、7月以降もチーム状況が上向かない。8月13日に勝率5割に逆戻り。貯金18以上あったチームが0になるのはプロ野球史上初だった。勝負弱さが目立ち、投打がかみ合わない。9年連続のV逸が決まると、CS進出も逃した。

 スポーツ紙デスクは、楽天のチーム編成の欠陥を指摘する。

「ベテランに依存しすぎです。投手陣は田中将大、則本昂大、岸、涌井秀章、野手は浅村栄斗、西川遥輝、鈴木大地ら他球団から獲得した選手を中心にタレントは豪華ですが、厳しい見方をすれば峠を越えた選手ばかりです。彼らは経験豊富ですがシーズンを通じて高いパフォーマンスを発揮できるわけではない。ベテランの状態が上がらない時にレギュラーを脅かす存在が必要ですが、若手が好調の時に起用し続けないので育ってこない。チーム作りに限界を感じます」

 確かに、過去の実績だけで勝てるほど甘い世界ではない。「黄金の先発ローテーション」と形容されたが今季の成績を見ると、田中将が9勝11敗、則本が10勝8敗、岸が8勝10敗、涌井が故障の影響で4勝2敗。4人で計31勝31敗と貯金を作れていない。2年目左腕の早川隆久も5勝9敗、昨季2ケタ勝利をマークした瀧中瞭太も2勝9敗と大きく負け越している。打線も実績のある選手たちを並べているが、選手層が薄い。接戦に脆く、1点差ゲームは18勝29敗。失速するのは必然に思える。

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