来シーズンは本格的なブレイクを期待したい阪神・西純矢
来シーズンは本格的なブレイクを期待したい阪神・西純矢

 今年のペナントレースも最終盤に入り、来シーズンが気になる時期となってきた。ドラフトや新外国人、このオフからスタートする現役ドラフトなど新戦力への注目度がどうしても高くなるが、現有戦力の底上げも重要であることは間違いない。そこで今回は今年ある程度一軍で爪痕を残している選手の中から、来年一気に大ブレイクを期待したい選手をピックアップしてみたいと思う(成績は9月25日終了時点)。

【写真】期待されながらもいまいち結果を残せない選手といえば

 セ・リーグの投手で真っ先に名前を挙げたいのが西純矢(阪神)だ。2年目の昨年プロ入り初勝利をマークすると、今年は登板機会を増やし、ここまで6勝3敗、防御率2.78と大きく成績を伸ばしている。特に今年3度目の一軍昇格となった8月以降は5試合の登板(うち先発4試合)で防御率1点台と安定感が増した印象だ。昨年までは二軍でも5個前後だった1試合あたりの与四球率が今年は一軍でも2点台前半と大幅に改善。そして、決して小さくまとまったわけではなく、球威がアップしていながら制球の指標が向上しているという点は大きなプラス要因だ。

 また変化球も高校時代からの武器だったスライダー、フォークの精度が上がり、どちらも勝負球として使えるだけの力を備えている。カーブやチェンジアップの緩い変化球の精度が上がってくればストレートはさらに生きてくるはずだ。同学年では宮城大弥(オリックス)、佐々木朗希(ロッテ)が先頭を走っているが、今年故障に苦しんだ奥川恭伸(ヤクルト)とともに、セ・リーグを牽引する投手になることを期待したい。

 セ・リーグの野手では増田陸(巨人)が面白い。2018年のドラフト2位という高い順位で入団したものの、プロ入り後は故障に苦しみ低迷。昨年オフには育成契約となっている。しかし今年はキャンプからアピールを続けて3月に支配下契約を勝ち取ると、5月には一軍初昇格を果たしプロ初本塁打もマークしている。ここまでの一軍成績は67試合に出場して打率..254と突出したものではないが、放った35安打中5本がホームラン、6本がツーベースと長打の多さに強打者としての素質がよく表れている。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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パ・リーグで“本格ブレイク”の雰囲気あるのは?