他球団のファンがより“熱狂的”になるという神宮球場
他球団のファンがより“熱狂的”になるという神宮球場

 コロナ禍の影響でほぼ球場で聞かれることのなくなったヤジ。ある意味では野球場の“風物詩”だったヤジは、開催される球場やどの球団のファンかによって性格が分かれる。

【写真】今後の経営が心配される球場といえば

 ヤジがほとんどなく温かい声が送られる球場もある一方で、些細なミスでも辛辣なヤジが飛ぶ球場もある。ヤクルト日本ハム楽天などの本拠地では結果が出なくても罵声が飛ぶようなことはほとんどない。

「ヤクルトは昔からファミリー球団と言われ、ファンにも当てはまる。以前は不甲斐ない試合をした後などはクラブハウスまでの道でヤジられるシーンもあったが、近年は見かけない。若者を中心にファンが増えており、屋外球場ということで夏場はビアガーデン感覚で楽しめる。都会のオアシスで『東京音頭』を口ずさむのは至福の時。温かいファン気質もそこから来ているのではないか」(ヤクルト担当記者)

 ヤクルトの本拠地である神宮球場はクラブハウスからベンチまで、関係者は徒歩で移動する。ヤクルト選手にとっての「ランウェイ」であり、温かい声援を受けることが多い。熱狂的なファンを持つ球団の選手が好き放題言われるのとは対照的だ。また日本ハムや楽天のファンも同様に選手を責めるようなことは稀だ。味方がピンチの時などは自然発生的に拍手が起こる。勝敗重視の殺伐感はなく、時にはマッタリ感すらある。

 ヤクルトと同じ関東地方の本拠地では巨人ロッテは少し事情が変わって来る。東京ドーム、ZOZOマリンスタジアムという、比較的スマート感漂う球場を本拠地にする2チームだが、それぞれ傾向がある。

「東京ドーム内野席は辛辣なものもある。ネット裏からベンチ上は、ほとんどシーズン席。企業の接待など、社会的地位もあり年齢層高めの人が多い。試合序盤は静かだが、お酒が入った中盤以降は辛辣な声も上がる。日頃のストレス発散なのでしょうか。しかし大人の常識人が多めなので、トラブルは少なめです」(巨人担当記者)

「ロッテは統制が取れた応援とともに辛辣なヤジも有名。千葉は漁師気質というか、血気盛んで少し度を過ぎるものもある。一通り文句を言った後、語尾に『このヤロー』と付く頻度は日本一。お客さんが少ない日など、テレビ中継の集音マイクが必ず声を拾っている」(関東地区テレビ局関係者)

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ビジターの試合で“変貌”するファンも