4位とした日本ハムは伊藤の存在が大きい。1年目から侍ジャパンにも選ばれるなど大活躍を見せ、今年も2年目のジンクスにはまることなくしっかりと二桁勝利をマークした。同じく大学から1位指名でプロ入りした早川と比べても安定感は明らかに上であり、今後も先発投手陣の柱として期待できそうだ。そしてやはり今後の大きなカギを握っているのは清宮だ。昨年はプロ入り後初めて一軍出場がなかったが、今年は打率こそ低いもののホームラン、打点でキャリアハイを大きく更新する成績を残している。今後確実性も増して、不動の中軸になることができれば、上位の3球団を上回ることも期待できそうだ。

 西武は松本がローテーションの一角に定着し、宮川もブルペンに欠かせない存在となっているが、斉藤は故障で育成契約となり、唯一の野手である渡部が二軍でも今年成績を落としている点がマイナスとなった。隅田は勝敗ほど投球内容は悪くなく、来年以降成績を伸ばすことも期待できそうだが、やはり将来の中軸として期待された渡部を一人前にしないとチームの将来は明るくならないだろう。

 そして気になるのは最下位としたソフトバンクだ。直近で指名した井上と風間は現時点でどうこう言う段階ではないのはもちろんだが、それ以前の3年間も含めてとても成功しているとは言い難い。2017年に指名した吉住は既にユニフォームを脱いでおり、社会人出身の佐藤も二軍暮らしが続いている。この2人に関してはプロ入り前の他球団からの評価は決して高いものではなく、将来性と長所の部分を過剰に評価した印象は否めない。さらにこの5年以前を見ても、1位指名の選手で完全な中心選手になったのは2012年の東浜巨までさかのぼることになる。これだけ1位指名の選手が機能していなくても常に優勝争いをしてきたのは見事という他ないが、1位指名の戦略は少し見直しが必要ではないだろうか。

 セ・リーグに比べるとまだ結果が出ていない選手も多いだけに、5年後に評価するとまた違った結果となる可能性は高いが、やはりソフトバンクが苦しい印象は否めない。常勝軍団復活のために今後どのような戦略をとっていくのか。パ・リーグの大きな注目ポイントとなるだろう。(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文 1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

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西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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