パリ五輪でのメダルを目指す池江璃花子
パリ五輪でのメダルを目指す池江璃花子

 世界中から奇跡だと言われていた、池江璃花子(ルネサンス/日本大学)の東京五輪出場から早1年。気づけば、2024年開催のパリ五輪までは2年を切った。

【ランキング】東京五輪日本代表の出身大学ベスト15はこちら

 新時代からさらに新しい時代へと移行しつつある今、パリ五輪を目指す池江の現在地を探ってみたい。

 先日会期前競技として行われた、とちぎ国体水泳競技。競泳は9月17~19日の3日間で開催された。そこに出場していた池江は、成年女子100m自由形、成年女子4×50mリレー、4×100mメドレーリレーの3種目に出場。記録的に池江が納得できるのは、4×50mリレー時、アンカーで泳いだときの24秒48。引き継ぎはあったが、そのタイムは0秒40(前の泳者がタッチしてから次の泳者の足がスタート台から離れるまでのタイム差)。通常のレースのスタート時で、池江はだいたい0秒60程度だ。引き継ぎというテクニックは、当然数字だけでは表せない部分もあるが、それでも単純計算で4月の日本選手権同等かそれ以上の24秒6~7程度では泳いでいたことになる。

 この国体が競泳種目における夏シーズンの締めくくりでもある。あらためて今シーズンを振り返った感想を聞かれた池江は「良くないシーズンではありました。思うような結果もでなかったですし、あまり自分のなかで納得できるようなレースがなかったかな、と思います」と少し困ったような表情で答えた。だが、こうも続けた。

「4×50mリレーで24秒台前半を出せたことは、50mに対しての自信がすごくついたレースでもありました」

 4月の日本選手権でFINA世界選手権の代表は逃したものの、大学生の五輪とも言われるワールドユニバーシティゲームズの代表には選ばれていた。だが新型コロナウイルス感染症の影響で延期に。夏に予定していた大会がごそっとなくなってしまった。

 さらに、8月末に行われた日本学生選手権(インカレ)前には足を捻挫。直前までほとんど練習ができない状況下に陥ってしまう。国際大会がなくなっても、自分のやることは変わらない、と真摯に取り組んできたものが、崩れ去る音が聞こえた。

次のページ
フィジカル面で増してきた“力強さ”