隔離期間の変更について、尾身氏らが 提出した「感染者の療養解除および濃厚接触者の健康観察の期間の短縮について」によると、

【感染者の療養および濃厚接触者の健康観察の期間の短縮は、医療機関・保健所機能を守るためだけでなく、社会活動の維持において極めて重要である。】

 と、書かれています。医療提供者サイドの視点であり、患者さんの立場に立ち寄り添って考えるという視点が欠けているような気がしてなりません。

 外来の現場で感じるのは、コロナになって皆が10日間や7日間で改善するわけでは決してないということです。数日で改善する人もいれば、数週間長引く人もいます。一律に隔離期間を規制するのではなく、例えば、内服薬の確保や検査体制の拡充など、診療にあたる現場の医療従事者が患者さんに対して個別具体的な医療を提供できるような医療体制の提供が、「withコロナ」の段階に移行する上で必要となると、私は考えています。我が国の感染症対策は、患者視点での改正が必要です。

山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師。医学博士。2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。2022年東京大学大学院医学系研究科修了。ナビタスクリニック(立川)内科医、よしのぶクリニック(鹿児島)非常勤医師、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

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山本佳奈

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山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師。医学博士。2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。2022年東京大学大学院医学系研究科修了。ナビタスクリニック(立川)内科医、よしのぶクリニック(鹿児島)非常勤医師、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

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