「大学までは地に足をつけて野球をやっていましたが、プロでは大きく変わりました。言い方が悪いかもしれないですが、勝手に期待され、チヤホヤされ、プレー1つずつに何かを言われる。野球を好きでやっていたのが、シンドさだけになった。特に1年目は苦しかった。野球が職業になったことで変化したのかな?阪神だったことが大きかったのかな』」

「『阪神でなかったら?』と考えることは多々あります。伝統球団なのでOB、関係者、ファンなど多くの人に常に色々言われました。そういった環境下で自分を強く持てませんでした。学生時代同様に短期、中期、長期に分けて目標は立てるのですが、実行することなく終わってしまった。自分の弱さが原因なので言い訳になりませんけど」

「阪神に入団して自分の考え通りに行かなかった。そういったことの全てが自分の野球人生、自分の運命だと思うしかない。阪神でなければ得られなかった、できなかったこともたくさんあります。日本トップと言える人気球団の一員としてやらせてもらえた。こうやって実際の経験を話せるのも財産です」


●~SNSを活用し自己プロデュースと優先順位の明確化。

 SNSを活用することについて賛否両論もあった。戦力外通告時の顛末をYouTubeで語ってみせた。12球団合同トライアウト時には同じく受験したビッグボス・新庄剛志との2ショット撮影をインスタグラムへ投稿した。「野球に集中していない」と多くの批判も受けたが、必要なことだと語る。

「NPB選手として一度終わった身なので、伊藤隼太という名前は劣化する一方。SNSのような媒体を使い、今後のためにも自己プロデュースが大事だと思います。超一流選手なら黙っていても食えますけど、僕はそうではない。1日24時間野球をやっているわけでなく空いている時間もある。その時間を有効活用して発信するのは必要なことだと思います」

「僕を通じて四国リーグの現在を知ってもらいたいのもある。野球という括りの中で貢献できることだと思います。またSNSを使うことで、やるべきことの優先順位も明確になりました。野球で結果を出すことが一番大事です。コーチの役割もあるし野球に関してやるべきことが多い。ファンの方々からも応援の声が届く。だから今年に関しては野球に集中すべき時期だと思って更新頻度が減っているのもあります」

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