巨人・ウィーラー(左)と阪神・マルテ(右)(写真提供・読売ジャイアンツ/阪神タイガース)
巨人・ウィーラー(左)と阪神・マルテ(右)(写真提供・読売ジャイアンツ/阪神タイガース)

 ペナントレースも大詰めとなり、選手の去就に関する話題も増えてくる時期となったが、大きな関心ごとの一つが外国人選手の動向ではないだろうか。球団からすれば来季に向けてどの選手を残留させるかの判断が求められる時期であり、逆に来年も日本でのプレーを目指す選手にとっては残り試合の成績が非常に重要となる。

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 また、コロナ禍以降は大当たりと言える選手は少ないだけに、退団となれば他球団が獲得に動くケースも考えられるだろう。そこで今回は今シーズンの成績はそこまで突出していないものの、他球団も含めて来季以降も戦力として面白い存在になりそうな外国人選手を探ってみたいと思う(年俸は推定、成績は9月15日終了時点)。

 まず日本で十分な実績がありながら、厳しい立ち位置となっているのがウィーラー(巨人)だ。一昨年のシーズン途中にトレードで楽天から移籍し、昨年は規定打席にはわずかに届かなかったものの3割近い打率を残し、チーム2位の打点をマークするなど活躍。しかし今年は新加入のポランコとウォーカーにはじき出される格好となり、来日以来最低の成績となっている。

 成績を考えれば退団が濃厚と見られるが、それでも残留、もしくは他球団が獲得に動く可能性が否定できないのが野球に対する真摯な姿勢とそのキャラクターだ。実績のある選手の場合、出場機会が減るとモチベーションを保つことができないケースも多い中で、ウィーラーからはそんな様子は全く見られない。二軍でもしっかり結果を残しているのも立派だ。また今シーズンの年俸は1億1000万円と安くはないが、昨年は5000万円でプレーしており、条件面についてもある程度妥協することが予想される。もし巨人を退団になったとしても、得点力不足の球団が手を挙げる可能性は十分にありそうだ。

 同じセ・リーグの野手ではマルテ(阪神)の動向も気になるところだ。来日3年目の昨年はキャリアハイとなる22本塁打、71打点の成績を残しベストナインも受賞したものの、今年は度重なる故障でほとんど一軍の戦力になることができていない。現在の2億円近い高額な年俸と、一昨年も故障に悩まされていたことを考えると、阪神が契約延長のオファーを出す可能性は低いと見られる。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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