「詰め込み」「偏差値」というイメージが強い中学受験。「受験のための勉強は子どもの将来に役に立つの?」「難易度より、子どもを伸ばしてくれる学校を選びたい」といった悩みを抱えている親御さんも増えています。思い切って「偏差値」というものさしから一度離れて、中学受験を考えてみては――。こう提案するのは、探究学習の第一人者である矢萩邦彦さんと、「きょうこ先生」としておなじみのプロ家庭教師・安浪京子さんです。連載26回目の今回は、小4の娘さんの算数の勉強に悩むお母さんからの相談です。

MENU ■1対2の個別指導はあまり意味がない ■「私にでも解けるものはある」と思わせる ■今はそんなに焦らなくていい

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■1対2の個別指導はあまり意味がない

安浪:結論から言ってしまうと、1対2の個別はあまり意味がないかな、と思っています。

矢萩:娘さんはわかりやすかったと言っているとのことですが、このようなケースの場合、理解できた、できるようになった、ではなく「私の話を聞いてくれて、それに対して応答してくれた」という意味のことが多いんですよね。

安浪:確かにそれはありますね。

矢萩:集団塾の場合、一対多で授業が進んでいくので、ついていけなくなると対話が成立しないんですね。つまり、自分の話は聞いてもらえないし、先生も自分に語りかけているわけではないという。だから、ご相談のケースも、先生の教え方がうまいかどうかはお子さんの反応からだけでは判断できないかな。

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安浪京子 矢萩邦彦
安浪京子 矢萩邦彦

安浪京子(やすなみ・きょうこ)/「きょうこ先生」として親しまれている中学受験専門カウンセラー、算数教育家。佐藤亮子さんとの共著『親がやるべき受験サポート』(朝日新聞出版)が好評。最新刊は『中学受験にチャレンジするきみへ 勉強とメンタルW必勝法』(大和書房)。

矢萩邦彦(やはぎ・くにひこ)/「知窓学舎」塾長、多摩大学大学院客員教授、実践教育ジャーナリスト。「探究学習」「リベラルアーツ」の第一人者として小学生から大学生、社会人まで指導。著書に『子どもが「学びたくなる」育て方』(ダイヤモンド社)『新装改訂版 中学受験を考えたときに読む本 教育のプロフェッショナルと考える保護者のための「正しい知識とマインドセット」』(二見書房)。

NEXT4年生で一番大切なのは…
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