夏の甲子園を制した仙台育英は来年も高校野球界の中心か
夏の甲子園を制した仙台育英は来年も高校野球界の中心か

 アメリカではU18侍ジャパンの世界一を目指した戦いが続いているが、高校野球の世界では既に来年春のセンバツ高校野球出場をかけた秋季大会が全国各地でスタートしている。少し気が早いが、2023年の高校野球はどんな勢力図になるのか。夏までの戦いと新チームの立ち上がりから探ってみたいと思う。

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 まず中心になるのが夏の甲子園で東北勢初となる優勝を果たした仙台育英(宮城)だろう。旧チームも野手のレギュラー8人のうち5人が2年生というチームで、キャッチャーの尾形樹人、ショートの山田脩也、センターの橋本航河とセンターラインがそのまま残るというのは大きな強みだ。投手陣も夏の甲子園で主戦を務めた高橋煌稀、最速147キロを誇るサウスポーの仁田陽翔、大型右腕の湯田統真を中心に力のある投手が揃い、一人のエースに頼らずに戦えるめどが立っている。新チームの立ち上がりが最も遅くなるという点はあるものの、甲子園でベンチを外れた下級生にも楽しみな選手が多く、総合力では頭一つ抜けた存在になることは間違いないだろう。

 春夏連覇を逃した大阪桐蔭(大阪)はやはり前田悠伍の存在が大きい。背番号こそ二桁だったものの、昨年秋から投手陣の中心として投げ続けており、実績では世代ナンバーワンと言える。夏の甲子園ではスピードアップした分、コントロールと変化球が少し狂っていたように見えたのは気がかりだが、しっかり調整してくれば難攻不落の存在となる可能性は高い。他の投手では大型右腕の南恒誠も楽しみな存在だ。また野手も旧チームから出場しているメンバーは少ないが、中学時代から大型ショートとして評判の小川大地など能力の高い選手は揃っている。夏の悔しさをバネに、どんなチームを作ってくるか非常に楽しみだ。

 この2チームに続く存在となりそうなのが広陵(広島)だ。夏の広島大会では早々に敗れたものの、プロ注目の大砲である真鍋慧や、中軸を任されていた田上夏衣など旧チームのレギュラーが残っている。投手も1年生ながら夏には背番号1を背負った高尾響と、センバツのマウンドも経験している岡山勇斗が控えており、失点もある程度計算できる。今年も西日本をリードする存在になる可能性は高いだろう。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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