検察審査会は事件について「不起訴不当」と判断し、検察に再捜査を求めた(画像の一部を加工しています)
検察審査会は事件について「不起訴不当」と判断し、検察に再捜査を求めた(画像の一部を加工しています)

 この結果を受けて五ノ井さんに胸中を聞くと、こう答えてくれた。

「不起訴が覆ることは難しいと聞いていたので、泣き寝入りせざるを得ないのかなと不安でした。もし事件を世間に訴えていなかったら、違う結果だったかもしれません。やはり声をあげたことが審査に多少なりとも影響を与えたのか、それはわかりませんが、自分の行動は無駄ではなかったのだなと救われる思いです」

 不起訴不当になった理由に「捜査が十分に尽くされたとは言い難い」とあるように、五ノ井さんも「真摯に受け止めて捜査を尽くしてほしい」と改めて語った。

 また、現在、自衛隊内で行われている内部調査についても「早く捜査の結果を出してほしい」と話す。

「自衛隊内部の調査結果公表が遅れて、検察の再捜査との齟齬が明らかになれば、自衛隊には不利になるはずです。被疑者は、自衛隊の内部調査にも検察の再捜査にも誠実に証言することが求められることになると思います」(五ノ井さん)

 顔と名前を出して性被害の詳細を告白したことで、五ノ井さんは今、心ない誹謗中傷にも悩まされている。最初は「負けん気」ではね返すつもりでいたが、審査結果を待っている間は「つらい」とも漏らしていた。

 そんな状態だったからこそ、今回の「不起訴不当」の判断は、五ノ井さんにとって大きな希望の光となったに違いない。そしてまた、これまで泣き寝入りしてきた被害者にとっても一筋の光となるはずである。(AERA dot.編集部 岩下明日香)