夜中に突然テントを開けられた女性もいる。写真はイメージ(PIXTA)
夜中に突然テントを開けられた女性もいる。写真はイメージ(PIXTA)

 SNSが思わぬ危険につながるケースもある。日本オートキャンプ協会によると、ソロキャンプ中の女性がSNSで今の様子を書き込んだところ、男性が突然やってきて声をかけてきたという事例があった。投稿の内容から、その場所と、一人でいることが分かってしまったようだ。

「SNSなどへの投稿は、キャンプを終えてからにした方が良いです」と協会の担当者は注意を促す。

 男性のキャンパーだから安心というわけでもない。キャンプ場で会った別の男性と意気投合して楽しく語らっていたが、朝起きたら荷物の大半が盗まれていたという悲惨なケースもある。そうした事態を防ぐためにも、テントはダブルチャックのものを選び、チャックとチャックの間に南京錠をつけたり、緊急用に防犯ブザーを常に携帯するなどの対策を取った方がいい、と小山さんは言う。

 冒頭の伊豆市でソロキャンプをしていた男性は、数日間のキャンプ予定で持ってきた飲料水は3リットル。「水がなくなり不安になった」と消防に助けを求めたのはキャンプ初日の夕方だった。

「これも極端なトラブルだと思いますが、一日、最低でも2リットルは飲料水が必要で、さすがに計画がおかしかったと言わざるを得ません」(小山さん)

 キャンプではオノやナタなどを使う。キャンプ場以外の携帯の電波が届かない場所では、万が一、ケガをしてもすぐには通報できない。たき火のやり方を知らずに、ぼやを起こしてしまうこともあるという。

 また、ハイシーズンである夏場のキャンプも実はリスクが大きいという。台風などの荒天やそれによる水害の危険。熱中症や、食べ物が傷むといった問題が発生しやすいからだ。

 このほか、キャンプ場以外でソロキャンプを決行したものの、実は私有地など立ち入りの許可が必要な場所だった、という知らぬが故の問題行為もある。

 日本オートキャンプ協会によると、オートキャンプ参加人口に占めるソロキャンプの割合は、2021年は13・1パーセントで前年(11・1パーセント)から増加。キャンプ場からはソロキャンプと初心者が増えたとの声が目立っているという。日本単独野営協会も会員は2万2千人と増え続けている。

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リスクを調べて「正しく恐れる」