昨年は大谷翔平(左)とともにプレーしたエンゼルス時代のホセ・イグレシアス(右)(USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)
昨年は大谷翔平(左)とともにプレーしたエンゼルス時代のホセ・イグレシアス(右)(USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ヤンキースのアーロン・ジャッジ外野手とのMVP争いが連日報じられる大谷翔平の活躍とは裏腹に、所属するエンゼルスは苦しんでいる。今季は主力のマイク・トラウト外野手が怪我で戦列を離れるなど致し方ない部分もあるが、それでも未来の見えない戦いにファンは落胆している。

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 加えて、先日にはオーナーのアルトゥーロ・モレノ氏が球団の身売りに言及。今後、オーナーが変わることで逆にチームが好転する可能性も大いにあるが、2014年を最後にプレーオフから遠ざかっているエンゼルスの補強を改めてみると、「出て行った選手」が活躍し、「入って来た選手」が苦しむという傾向が顕著だ。

 近年の低迷の象徴になってしまっていたアルバート・プホルスもその傾向に当てはまる一人。カージナルス時代には“メジャー最強の打者”という称号を欲しいままにしたプホルスは、2011年のオフに10年総額2億5400万ドル(約366億円)の超大型契約でエンゼルスに加入。大きな期待を背負って入団したが、移籍後は別人になってしまったかのように成績が下降した。

 カージナルスの12年間での通算打率が.326だったものが、エンゼルスに所属した9年半では.256に下落。さらに、カージナルスでは、打率、本塁打、打点の打撃三部門のタイトルに加え、他の様々なカテゴリーでもリーグトップとなることが多かったが、エンゼルスで獲得したタイトルはゼロ。リーグトップとなったのは皮肉なことに2014、2017年の併殺数だけだった。

 ちなみに、チームの本拠地が打者有利から投手有利の球場に変わったことで成績が落ちることはよくあるが、エンゼルスの本拠地は今季のデータなどを見ても、むしろ打者有利と言ってもいい。プホルスがエンゼルスに入団した時は32歳となるシーズンで年齢的な衰えは当然あるにしても異常なほどに成績が悪化し、「年齢を詐称しているのでは」という批判すらあった。

 しかし、昨年5月にエンゼルスから解雇となり、ドジャースに加入すると成績が向上。エンゼルスではその年、24試合に出場して打率.198だったものが、ドジャースでは85試合で打率.254とそれなりの数字となった。

 そして、今年は古巣のカージナルスに11年ぶりに復帰すると、86試合に出場して打率.266、16本塁打、43打点と息を吹き返し、8月には公式サイト『MLB.com』が発表するナ・リーグの月間ベストナインの指名打者部門で選出されている。今季限りでの現役を退くことを表明しているが、「引退を考えなおしてくれ」とファンから声が上がるほどだ。

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プホルス以外にも…