気になる症状は早期に、積極的に対処しましょう ※写真はイメージです (c)GettyImages
気になる症状は早期に、積極的に対処しましょう ※写真はイメージです (c)GettyImages

 排尿のトラブルは多くの人が経験するものですが、男性の場合は前立腺の肥大が原因となっていることも少なくありません。気付かぬまま過ごすケースも多い病気ですが、放置すると症状の悪化を招いてしまう心配も。“歳だから仕方がない”と軽視せず、気になる症状があれば積極的に対処しましょう。日本の漢方のルーツである中国伝統医学「中医学」には、前立腺の不調を整える養生法があります。本記事では4つのタイプ別に【前立腺肥大症の対処法】を紹介します。

■加齢とともに増える「前立腺肥大症」

 前立腺は、精液の生成に関わる男性生殖器の一つ。尿道を囲む位置にあり、排尿のコントロールにも関係しています。

 前立腺の不調には、急性前立腺炎、慢性前立腺炎などの症状がありますが、中でも多く見られるのは「前立腺肥大症」。加齢による男性ホルモンの低下が要因の一つと推測されていて、50代で20~30%、80代では80~90%に見られるとされています。主な症状は、尿が出にくい、尿が途切れる、頻尿、残尿感など。前立腺が肥大すると尿道を圧迫し、膀胱を刺激するため、さまざまな排尿トラブルが現れます。

 中医学では、前立腺の問題は五臓の「腎」と深く関係していると考えます。腎は人の発育や生殖、排尿のコントロールなどに関わる臓器。そのため、加齢によって腎の働きが衰えると前立腺や排尿のトラブルが起こりやすくなるのです。また、血流が滞る「お血(おけつ)」、身体に余分な水分や汚れが溜まる「痰湿(たんしつ)」、過剰な熱がこもる「熱うつ」などの体質も、前立腺の不調を引き起こす要因となります。

 前立腺肥大症を放置すると、膀胱炎、膀胱結石、腎機能障害などの合併症につながることもあります。排尿トラブルは“加齢による症状”と軽視しがちですが、不調が続いている人は一度医師の診察を受けることが大切。その上で、症状が重くない場合は中医学の対処を取り入れ、根本から体質を整えていきましょう。

■タイプ別「前立腺肥大症」の対処法

「前立腺肥大症」は、男性であれば加齢とともに誰にでも起こりうる症状。中医学でも、男性は56才から生殖機能が落ち、64才から「腎」が衰え始める(※)と考えます。前立腺の不調を予防、改善するためにも、中高年以降の人は積極的に体質を整えましょう。
※男性は8の倍数の年齢で身体に変化が訪れるとする考え方

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4つのタイプ別の対処法を紹介