今年は度重なる故障に泣かされている巨人の坂本勇人
今年は度重なる故障に泣かされている巨人の坂本勇人

 借金生活で逆転優勝が厳しくなった巨人。エースとして長年活躍してきた菅野智之が6勝6敗と波に乗れず、救援陣も「勝利の方程式」が確立できていない。今年故障で3度戦線離脱した主将・坂本勇人の「ショートの後継者」も頭を悩ませる問題だ。

【写真】イチローが「本当の天才」と言った男とは

 ただ、長期的視点で考えると悲観することばかりではない。

 他球団のチーム編成部の関係者は「巨人は将来が楽しみな若手が多い。特に投手陣はエースになれる可能性を秘めた素材がゴロゴロいてうらやましい。彼らが大成できるかは1軍の舞台で投げ続けられるかにかかっている。巨人は外部からの補強に積極的な球団なので、即戦力の投手が加入したら若手の登板機会が減ってしまう。少し時間がかかるかもしれませんがじっくり育てた方がいいと思います」と指摘する。

 確かに、今季は新しい力が躍動している。ドラフト1位・大勢は抑えに抜擢されて28セーブの大活躍。新人王だけでなく最多セーブ投手の記録も十分に狙える位置につけている。また、堀田賢慎、戸田懐生、赤星優志、大勢、平内龍太、山崎伊織、直江大輔がプロ初勝利をマーク。1シーズンでプロ初勝利7人はプロ野球最多記録だ。プロ4年目で自身初の2ケタ勝利を挙げた戸郷翔征を含め、若手の成長株たちが次々に頭角を現している。

 スポーツ紙記者は「戸郷、山崎伊、堀田、直江はそれぞれタイプは違いますが直球に力があり、チームの柱にならなければいけない投手たちです。戸郷は22歳、山崎伊は23歳、堀田は21歳と年齢が近い。直江も戸郷と同学年の22歳です。斎藤雅樹、桑田真澄、槙原寛己が『史上最強の3本柱』を結成したように、生え抜きの投手たちで先発ローテーションの中心を担ってほしいですね」と期待を込める。

 巨人はFA市場に積極的に参入してきた歴史がある。他球団のエースや4番打者を獲得することは大きなプラスアルファが期待できる。近年では、2020年オフにFA権を行使した井納翔一(DeNA)をヤクルトと争奪戦の末、獲得に成功している。

次のページ