魔曲「ジョックロック」で有名な智弁和歌山の応援
魔曲「ジョックロック」で有名な智弁和歌山の応援

 熱戦が続く高校野球を盛り上げるのは各校が趣向を凝らした応援。中でもツイッターのトレンド入りするなど、大きな話題となっているのが『魔曲』の存在。攻撃時に何かが起こりそうな雰囲気を作り出す究極の応援曲だ。

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『魔曲』について、プロ野球からアマチュアまで多くの応援楽曲を作成してきたジントシオ氏が語ってくれた。

●楽曲のクオリティに伝統、歴史が加わることで魔曲になる

「魔曲という名称で呼べるのは、『ジョックロック』(智弁和歌高)を含めて数曲かもしれません」

 応援楽曲制作の第一人者とも言えるジン氏の口から最初に出てきたのは、やはり『ジョックロック』だ。

 今夏も智弁和歌山高の初戦が近づくにつれて取り上げられ始めた魔曲、制作は1998年頃だったと言われている。ヤマハの作曲ソフトに入っていた曲をベースに編曲、生徒のコールを加えて出来上がった。2000年夏、福岡・柳川高との準々決勝で「2-6」の劣勢を逆転、全国制覇を成し遂げたことで一躍、有名となった。

「『ジョックロック』は曲のクオリティが高い。ゆっくりとした壮大な感じで、何かが起こりそうな雰囲気を醸し出しています。甲子園では数々の名シーンを演出、多くのものが積み重なったからこそ魔曲と呼ばれるようになったと思います」

 個人応援歌とは異なる、いわゆるチャンステーマを使用する学校が激増。各学校がオリジナルを作成している場合も多い。新しい曲が登場した場合、それら全てを魔曲と呼ぶような風潮もある。

「各曲に個性があって聴いているだけでおもしろく、自分自身の楽曲制作にも刺激をもらっています。でも全てを魔曲という一括りで呼ぶのは、少し乱暴かなと思います。どれも素晴らしい楽曲だと思いますが、伝統、歴史などが加わって初めて魔曲になる。だから本当の魔曲は決して多くないと思います」

「例えば、千葉・習志野高『レッツゴー習志野』。野球伝統校でありブラスバンド部も全国大会常連校です。美爆音と呼ばれる技量が注目されますが、リズムや音程、コールなど応援に適した名曲です。大阪桐蔭高『You are スラッガー』は勝ち続けることで、曲の重みもどんどん増して行った感じがします。どちらも魔曲に相応しいと思います」

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今夏注目を浴びた「魔曲」については?