重要なレースでも“気性難”が出てしまったゴールドシップ
重要なレースでも“気性難”が出てしまったゴールドシップ

 競走馬の資質として重要な要素のひとつが「気性」。G1を勝つような名馬たちにも手が付けられないクセ馬や逆に憶病すぎる馬など、気性にまつわる様々なエピソードが残されている。

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 有名なのは、1997年のフェブラリーステークスを制すなどダートで活躍したシンコウウインディ。4歳(旧馬齢表記)だった96年8月の館山特別でレース中に並んでいた他馬に噛みつきにいって失速して2着に敗れると、同年11月のスーパーダートダービーでも逃げていたサンライフテイオーに噛みつきに行ったロスが響いて同馬の逃げ切りを許した。

 その後は悪癖を見せることなくフェブラリーSを勝ったわけだがファンに与えたインパクトは強烈で、人気ゲーム『ウマ娘』でも噛みつき癖のあるキャラとして登場している。

 ちなみにレース中の噛みつき行為は洋の東西を問わずしばしば発生しており、21年の米G1フォアゴーステークスでは、最後の直線でヤウポンと激しく叩き合ったフィレンツェファイアが噛みつきに行って2着に惜敗した。ちなみにこのフィレンツェファイア、今年から日本のアロースタッドで種牡馬入りしている。

 一般的に気性は遺伝しがちなもので、日本競馬史上に残る名種牡馬となったサンデーサイレンスも、その父ヘイロー(噛みつき防止のため普段から口に保護器具を付けられていた)から受け継いだ難しい気性を子供たちにもしっかり伝えている。

 中でも際立っていたのがステイゴールド。この馬の場合は母父ディクタスも気性難の種牡馬として名を馳せており、母のゴールデンサッシュはもちろん、マイル路線で大活躍したおじのサッカーボーイも気性の荒さは有名だった。

 そんな気性難の結晶のようなステイゴールドも希代のクセ馬で、デビュー前のブレーキング(馴致、人を乗せるための訓練)には相当苦労したという逸話が残っている。デビュー後も3戦目でコーナーを曲がろうとせず、あげく鞍上を振り落として競走中止・調教再審査となった。その後もレースへの集中ができないためかしばしば斜行し、G1で2着や3着を繰り返す。それでも引退レースとなった香港ヴァーズでは、武豊騎手が斜行を封じる好騎乗で国際G1制覇という偉業を達成した。

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ステイゴールドの産駒も…