「詰め込み」「偏差値」というイメージが強い中学受験。「受験のための勉強は子どもの将来に役に立つの?」「難易度より、子どもを伸ばしてくれる学校を選びたい」といった悩みを抱えている親御さんも増えています。思い切って「偏差値」というものさしから一度離れて、中学受験を考えてみては――。こう提案するのは、探究学習の第一人者である矢萩邦彦さんと、「きょうこ先生」としておなじみのプロ家庭教師・安浪京子さんです。連載23回目の今回は、進学先は都立か私立かで悩むお母さんからの相談です。

MENU ■都立と私立、学費も試験も教育方針も違う ■都立は「主体性のある子」を大事にする傾向 ■ゆるく考えていると「やっぱりダメでした」となってしまう ■都立は記述のイメージだが、算数も非常に大事

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■都立と私立、学費も試験も教育方針も違う

矢萩:大前提として、夫婦で意見が合っていないところはなんとか合わせていかないといけないですし、もし合わないんだったら、どんな点がどのように合わないのか、というところをちゃんと明確にしていかないといけないですね。

安浪:そうですね。都立と私立では学費や試験が違うのはもちろんですが、教育方針も違いますし。

矢萩:そう。都立は公立だから、基本的に公平、平等がベースにあります。学校にもよりますが、学校の価値観に合わせてください、という圧力があるところも多いです。尖った個性を持っていたり、反骨精神が旺盛で“ロックな感性”を持っていたりする子はやりにくいところがあるかもしれない。それに対して私立は、「ここだけ最低限やっていれば、個性は尊重しますよ」と言ってくれるところが多い。こういった情報も認識した上で、話しあったほうがいいですね。

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安浪京子 矢萩邦彦
安浪京子 矢萩邦彦

安浪京子(やすなみ・きょうこ)/「きょうこ先生」として親しまれている中学受験専門カウンセラー、算数教育家。佐藤亮子さんとの共著『親がやるべき受験サポート』(朝日新聞出版)が好評。最新刊は『中学受験にチャレンジするきみへ 勉強とメンタルW必勝法』(大和書房)。

矢萩邦彦(やはぎ・くにひこ)/「知窓学舎」塾長、多摩大学大学院客員教授、実践教育ジャーナリスト。「探究学習」「リベラルアーツ」の第一人者として小学生から大学生、社会人まで指導。著書に『子どもが「学びたくなる」育て方』(ダイヤモンド社)『新装改訂版 中学受験を考えたときに読む本 教育のプロフェッショナルと考える保護者のための「正しい知識とマインドセット」』(二見書房)。

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