ジュビロ磐田の遠藤保仁
ジュビロ磐田の遠藤保仁

 森保ジャパンがE-1選手権を戦っていた傍ら、今季のJ1リーグの順位表に目を向けると、清水と磐田、かつて「サッカー王国」と言われた静岡の2チームが下位に沈んでいることに気づく。リーグ再開後の初戦では磐田が勝利(1対0 vs湘南)し、清水は引き分け(3対3 vs鳥栖)でともに勝ち点を積み上げたが、依然として残留争いの渦中にあり、静岡の2チームが同時降格の可能性は消えていない。

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 清水市(現静岡市)をホームタウンにした「オリジナル10」の一つである清水エスパルス。1993年のJリーグ開幕時から堀池巧、大榎克己、長谷川健太の“清水東三羽烏”をはじめ、三浦泰年、澤登正朗、伊東輝悦など静岡出身の選手が実にチームの8割以上を占め、テクニックに秀でたサッカーを展開。1996年のナビスコ杯優勝の後、1999年は右の市川大祐、左のアレックス(三都主アレサンドロ)の両翼が躍動してファーストステージ3位、セカンドステージで悲願のステージ優勝を果たした。長谷川健太監督時代の2006年から2010年も上位争いを続けたが、徐々にチーム力が低下してきた中で2014年に15位に低迷すると、翌2015年にはJ2に降格。小林伸二監督のもとで1年でのJ1復帰を果たしたが、復帰後5年間でひとケタ順位は2018年(8位)のみ。大型補強を展開した2021年も年間14位と期待外れに終わった。

 迎えた今季も序盤から勝ち切れない試合が多く、16試合を終えて勝点13(2勝7分7敗)の時点で平岡宏章監督を解任。6月7日にブラジル出身でフラメンゴやボタフォゴなどの監督を歴任していたゼ・リカルド新監督を迎え入れた。新体制後は7試合で勝点8(2勝2分3敗)と若干ではあるが調子は上向きではある。何より、今夏の移籍期間で元エースのFW北川航也、新外国人のMFピカチュウ、元日本代表のMF乾貴士と大型補強を敢行し、7月31日の鳥栖戦では1対3から2得点を奪ってのドロー。新加入3人がいずれもピッチに立ってエキサイティングな戦いを演じ、復帰戦でゴールを決めた北川は試合後に「残り11試合すべて決勝戦のつもりで戦いたい」と力強い言葉を残した。攻撃力は確実にアップし、今後の巻き返しへ向けて大きな可能性を見せている。

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ジュビロ磐田もかつては“名門”だったが…