※写真はイメージです(写真/Getty Images)
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体調が不安で、医師にいろいろ相談したい。そう思って病院に行ったのに、いわゆる「3分間診療」に、十分な会話もできずに帰ってきたという人も多いのではないでしょうか。診察時間を長くすることは難しくても、満足できる診療を受けることは可能であり、そのためには「コミュニケーション力」が求められます。近年は、コミュニケーションが治療の効果や患者・家族・医療者の満足度に大きな影響を与えることも明らかになってきました。短い診察時間でも医師とコミュニケーションをしっかり図るにはどうしたらいいのか。ヘルスコミュニケーション学関連学会機構副理事長の宮原哲氏(西南学院大学外国語学部教授)が患者に必要なコミュニケーション力について語ります。

≪医療監修/京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻健康情報学分野教授・中山健夫医師≫

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■短い診察時間で後悔しない診察を受けるために患者はどうすればいいのか?

 こんな経験はありませんか? 

 体調が優れず、病院に行ったときのこと。体調が悪いせいか不安や心配が重なり、医師にこんなことを聞こう、あんなことを話そうと考えながら、混雑した待合室で過ごします。「この痛みの原因は何ですか?」「これから先どうなるのでしょう」「この治療を続けていけば治るのですか?」「薬を変えてもらいたいのですが」など、たくさん話したいことがあったのに、診察室に入ると医師の忙しそうな姿や慌ただしい雰囲気に、話そうと思っていたことが全部頭から飛んでしまう、という経験です。

 そして、「あ、あの、たいしたことはないのですが」と思ってもいない言葉が出てしまったり、要領を得ないことしか言えなかったりして、結局、「じゃあ、また同じ薬を出しておきますね」と言われ、診察は終了。来たときと不安は変わらないまま、後悔だけが加わって帰る。そんな経験はおそらく誰にでもあるでしょう。

 短い診察時間でも、後悔しないように医師とコミュニケーションするためには、どうすればいいのでしょうか?

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本来、医師と患者の関係には上も下もない