ヤクルトの山田哲人
ヤクルトの山田哲人

 ドラフト1位でプロ野球の世界に入った選手たちは、アマチュア球界でズバ抜けた輝きを放っていたアスリートばかりだ。ただ、全ての選手の注目度が高かったわけではなく、逆風からスタートした選手もいる。

【写真】巨人戦に強い「巨人キラー」として知られるベテラン投手

 巨人は昨秋のドラフトで西日本工業大・隅田知一郎(西武)を1位指名したが4球団が競合の末に抽選で外れ、「外れ1位」で関西国際大の大勢を指名した時に驚きの声が上がった。独特の投球フォームから150キロを超える直球が大きな武器だったが度重なる故障も影響し、リーグ戦通算4勝3敗と目立った成績を残していない。制球力が課題で「即戦力ではない」という指摘も少なくなかった。だが、守護神に抜てきされると期待以上の活躍をみせる。前半戦は36試合登板で1勝1敗25セーブ5ホールド、防御率2.02。新人王の最有力候補で、最多セーブ投手のタイトルも狙える位置につけている。

 同じく1位指名で疑問の声が上がったのが、大山悠輔阪神)だった。2016年ドラフトは創価大・田中正義(現ソフトバンク)、桜美林大・佐々木千隼(現ロッテ)、明大・柳裕也(現中日)が「大学ビッグ3」と形容され、複数球団による争奪戦が予想された。田中には5球団が競合、柳には2球団が競合したが、佐々木は名前が呼ばれない。阪神の指名を予想するメディアが多かったが、白鴎大のスラッガー・大山悠輔を1位で単独指名。大学ジャパンの4番を担った実力者だが全国的には無名の存在だったことから、ドラフト会場では「えっ!」とどよめきが起きた。佐々木が「外れ1位」で最多の5球団が競合したことから、「佐々木を指名するべきだった。大山は2位でも獲れた」と指摘されたが、プロ入り後はその評価を覆した。20年から3年連続20本塁打をマークするなど、セ・リーグを代表するスラッガーとして活躍している。

 このドラフトでDeNAは1位で柳を外し、外れ1位で佐々木を外し、「外れ外れ1位」で指名したのが神奈川大の左腕・濱口遥大だった。ブレーキの利いたチェンジアップを武器に1年目の17年に2ケタ勝利をマーク。日本シリーズ・ソフトバンク戦では3戦目に先発登板して8回1死までノーヒットノーランの快投。大記録は逃したが、新人が日本シリーズで白星を飾ったのは球団史上初の快挙だった。

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